2020年11月から全10回に渡り、16ミリ映画撮影・映写・製作ワークショップを開催しました。
今回はじめてCO2映画製作ワークショップに参加した乾がレポートします。
ワークショップ紹介ページはこちら
※完成作品は記事の最後をご覧ください。
今や誰でもスマホで簡単に動画を撮れてしまう世の中、映画の世界もデジタルで撮影・上映という環境がスタンダードになっている現代。
映画が誕生してから2020年で125年という節目を迎え、「16mm白黒フィルムで撮影する1分映画」という、映画の基本に立ち返って製作するこのワークショップに、7名の参加者が集まり、6本の作品ができました。
ワークショップの内容はこちら
(新型コロナウイルス感染拡大の影響で一部日程を変更して開催しました)
講座
まずはプラネット・プラス・ワン代表の富岡さんから、映画誕生から125年の間にどのような変化があったのかについての講義から始まります。映画の父・リュミエール兄弟の作品を観ながら、映画の発明〜物語性の誕生〜トーキーの発明〜フィルムサイズの種類など、変遷の説明がありました。
普段当たり前に観ている映画ですが、125年の間の発見や実験の積み重ねであると改めて気付かされます。
今回は16ミリフィルムで撮影するので、実際の現物を触りながら、どのようにフィルムに映像が映りスクリーンに映写されるのかという解説もありました。フィルムを手に取れる機会が少ないので、皆さん真剣に講義に耳を傾けていました。
今回は事前に選定した6つのロケ地それぞれの構図を活かし、自分たちがどのような作品を撮るのか各々考えていきます。
映画の基本に立ち返り、モノクロ・1分間・固定カメラ・ワンカット・サイレント・カメラの高さは腰、という条件を満たして作り上げます。
初めはこの条件にどのように撮ったらいいのか戸惑った様子でしたが、話し合っていくうちに様々なアイデアが出て映像のイメージが出来上がってきました。
撮影
そして遂に撮影の日がやってきました。
技術講師の古河潤一さんとともにフィルムの装填から自分自身で準備をし、ロケ地へと向かいます。
さて、うまく撮影できるでしょうか。
今回使用するベル・ハウエル。動力は電気ではなく手巻きのねじ巻き。しっかり最後まで巻くのを忘れずに。
現場では撮影班と演出班と分かれてそれぞれ準備をしていきます。
撮影班は露出計での光量計測、カメラから演者までの距離計測、どこまでがフレームに収まっているかなど、ひとつひとつ丁寧に確認していきます。
作品で使う小道具もイメージ通りにセットしていきます。
演出班は作品の監督とともに動きや立ち位置の確認、イメージの擦り合わせ、演技指導などリハーサルを繰り返しながら、白黒と無声の中でどうすれば観客に伝わるのかを意識し、本番に向けて完成度を上げていきます。
全ての作業が完了したので、ついに本番の撮影に入ります。リテイク無しの一発勝負。演者や撮影班全員に緊張が走ります。果たして上手く撮影できたでしょうか。
忘れてはいけないタイトルも自分たちで撮ります。こちらも監督の個性が光る素敵なものが撮れました。
これにて撮影は全て終了。
当初は初めてのことだらけで何をやればいいか分からずに進んで行きましたが、撮影を重ねるごとに自分たちの役割を理解し段々とチームワークとしての一体感が出来ていきました。
編集・映写
さて、現像所から返ってきた皆さんが撮影したフィルム。最後の大仕事、編集をします。
右手にあるのがビュアー。この機械を使いフィルムの映像を手回しで見ながら必要なシーンの場所を確認します。
そして左手にあるのがフィルムスプライサー。
こちらでフィルムを切りタイトルシーンを繋げて先日撮影した映像を一本にまとめていきます。
今回はひとり1分ぶんの簡単な編集作業でしたが、長編作品での場合を想像するととんでもない作業量に身震いしてしまいます。
そして出来上がった作品のフィルムを映写機にかけて映写し、全員で確認します。
どの作品も個性が現れた力作揃い。数ヶ月の努力の結晶が映像となってスクリーンに映った瞬間は感慨深いものでした。全て観終わったあとに「ここはこうした方がよかったかもね。」「ここが素晴らしかった」と改めて意見を交換して、うまくいった部分もそうでない部分も含めて今後に繋げる話し合いができました。
上映
2月15日。この日は日本で初めて映画が上映された日でもあります。そんな記念日に今回のワークショップで撮影した全作品が特別プログラムの一部としてお披露目されました。なんと当日はサイレント映画楽士の鳥飼りょうさんによる生ピアノ伴奏付き。音楽が付くことで白黒の映像に色が付いたように感じて、思わず感激してしまいました。
何よりも作ったものを他の人たちに観てもらえるのは嬉しいことですよね。
参加者の皆さん、数ヶ月のワークショップ本当にお疲れさまでした。
完成作品
第1回シネマ・スコラにて撮影した6本の作品はYouTubeにて公開しています。
どの作品も個性的な力作ばかりなので、是非こちらのURLからご覧ください。
第2回の開催も計画中とのことで、興味を持たれた方は是非次回のシネマ・スコラに参加してみてください。
「退院の別れ」
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「閉店」
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「恋ののこり香」
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「自転車に乗りたい!」
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「別れと出産」
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「さいかい」