8/27(水)KyotoDUの唐津正樹さんをゲストに、撮影、デジタル機材講座が開催されました。
映画にとってそのルックを左右する撮影の役割は大きい!ということで、講座は唐津さん制作の15Pテキストを元に、撮影機材の解説・選び方のポイント、実際の撮影で役立つ「露出」「ホワイトバランス」「フォーカス」について、そして映画独特の手法である「カット」による物語の見せ方について考察が行われました。
また、このテキストは唐津さんが実際に映画制作の中で感じたことがポイントが書かれているため、特に経験の少ない方には役立つ情報となっています。
●カメラマンの役割
撮影現場に行って撮影するだけがカメラマンの仕事ではありません。制作現場ではカメラマンが率先して現場を廻していくことも。
・ロケハン:作品のイメージを左右するためセンスが問われる。
・撮影助手探し:現場をスムーズに廻すために動ける人材を選ぶことが重要。
・撮影の機材の手配:適切なカメラの選択のため知識が不可欠。
・監督・照明・録音との打ち合わせ:監督とはカット割りの打ち合わせ、絵コンテに基づいた各部署との連携など撮影前の重要なパート。
・リハーサル時のテスト撮影:リハーサルに立ち会って事前に状況を把握する。
・撮影データのバックアップ:SDカードでの記録が主流。撮影助手や助監督がバックアップを取って編集に廻せるようにする。
・編集時のカラコレ:色の調整。
このようにカメラマンの仕事は、現場での撮影から劇場にかかる前の色の調整まで多岐に渡ります。
●実践!カット割りについて
後半はカット割りについての検証。まず参加者に意見を聞いていきます。
カット割りの良いところは?
「メインの人が誰か分かり易くなる」「時間や空間を切ることができる」「カットの順番で意図的な計算ができる」「編集できる」などの意見が。
逆にカット割の悪い点は?
「画面に入っているもの以外は見えない」「編集がないと物語が分からない」「演技の流れが中断される」などが挙がった。
唐津さんが重要視するのが「演技の流れが中断される」ことについて。例えば舞台はワンカットで視点が切り替わりません。その集中力を上回ろうとする場合、カットを割った方が良いのか。割らない方が良いのか。ドラマや映画を観る際に、カットを割ることで演技のテンションが変わっていることに気付くことがあるといいます。
ということで渡された台本を元にカット割の実践です。
カット割をするには下記のようなやり方があるのでやり易い方法を選択します。
・絵コンテ:イラストで1カットごとの絵を描く。
・字コンテ:脚本に「/」で印をつけてカットを区切る。
・V(ビデオ)コンテ:仮のロケ地・キャストで撮影し、仕上がりを再現。
・写真コンテ:Vコンテの写真版
・間取り図:ロケ地を俯瞰した間取り図にカット割を記入する。
課題は下記の脚本です。
<病院の裏庭>
白衣を着た医師・黒木がベンチでパソコンで仕事をしている
看護師・沢田が仕事上がりで缶コーヒーを手に近づく
沢田「先生 大丈夫でした?」
黒木「もう 大丈夫だよ 勤務が長い方が気が楽ですよ」
沢田が缶コーヒーの缶を開けて渡す
黒木「あっ ありがとう」
沢田「これが好きでしょう」
横に座る沢田
黒木「いい奥さんに(旦那)になれるね」
沢田が暗い顔で俯く
(脚本はこの後も続くがピックアップされたのはこの冒頭部分)
この脚本を元に参加者全員でカット割を考えてみます。
みなさんも挑戦してみてください!
さて、1カットから12カットまで意見が出ました。
1カット、つまりカットを割らなかった方の意見は「二人の関係が分からないところから始まって、後半が盛り上がっていく。変わっていくのを1カットでゆっくり見せたかった」
一方、12カットの割り方を間取りを使って検証していくと、書かれていることが全て重要であると捉えています。一連の流れの中でどこが重要かがぼやけていることが分かりました。
こうして検証していくと、今後映画を観る際にも「何故このカットが割られているのか?」といったことにより目が行きそうです。
講座の終了後は水曜コネクト(映画制作者の交流会)が行われ、毎月第3金曜日、中崎町の天劇キネマトロンで定例会を行っている「大人の映画研究部」から部長の岸本景子さんがゲスト参加されました。
いかがでしたか?こんな風に時には実践を交えながら行われる映画制作オリエンテーション。
映画制作に参加する方々が自分のパート以外の役割、全体像を把握することで映画制作のレベルアップを図ります。
毎回、講座終了後には水曜コネクト(交流会)もあります。
次回は9/10(水)「編集」講座の開催です。ぜひご参加ください!