CO2映画制作オリエンテーション第5回「照明講座」
(左:担当講師/浅川周さん、右:進行/唐津正樹さん)
2014年10月8日、CO2映画制作オリエンテーション第5回「照明講座」が開催されました。
今回の講師は浅川周さん。第4回CO2助成作品『bluebird』や数々の短編映画を制作された映画監督であり、実際の現場で照明のプロとしても活躍されています。
講座の前半は、進行役の唐津正樹さんとのトーク形式で、映画における照明とは何かについての座学が行われました。
「撮影の時、照明を使っている人はどれくらいいますか?」
開始早々、浅川さんからの質問に、ほとんどの受講生が照明を使った経験がない様子で、
照明がわからない/機材がわからない/そもそも、高性能なカメラさえあれば暗い場所でも簡単に撮影ができてしまうのに、なぜ照明が必要なのかなどの声があがりました。
それに、浅川さんは「照明があれば画のクオリティがあがる」と答えました。
撮影でどこをどう切り取るかが重要なように、照明は光を操ることで、画面内の空間/時間/物語の雰囲気を表現する重要な役割を担っているのだそうです。
そして、浅川さんの照明機材を用いた基礎的なライティングの説明が行われました。受講生はビデオカメラからテレビに映しだされた映像を見ながら、照明のありなし/ライト一灯/複数灯の場合の雰囲気や印象の違いを確認。ライトひとつで映像の印象が変わる照明の重要さ、繊細さを感じずにはいられませんでした。
ロケ現場にある室内灯のランプを電圧の強い物に付け替えたり、自然光をそのまま活かしたりと、意識しさえすれば、ちょっとした工夫でライティングはできるのだそうです。
さて、後半からは照明機材を使っての実技が行われました。
実技内容は、用意された短いシナリオを読み込み、描写されたシーンの設定時間、状況の雰囲気を照明で実際に作り込んでみようというものでした。
設定時間は夕方/状況はとある女と謎の男が向き合い、緊張した雰囲気。
まず、カメラの前に女役と男役の受講生に向き合って座ってもらい、それを囲んでどんな照明を当てるかなどなど、機材に触れながら思案しました。
そして、部屋の電気を消して、ライティング開始。
浅川さんは実際に三台のライトを使って、てきぱきと受講生たちに指示を出しながら、電気の消された真っ暗な教室をあっという間に夕方に変身させ、向き合った男女にも光の加減でただならぬ空気をつくりだしてしまいました。まるで撮影の現場にいあわせているようなわくわくした気分になりました。遠巻きに見ていた受講生さんたちも刺激を受けた様子で、恐る恐るライトに触りながら参加するようになりました。そして、実際にライトの当たる位置で、どれだけ被写体の雰囲気や印象が変わるのかを確認しながら、時間の限り、照明の実技が行われました。
照明は見た目の感覚に頼るもので基準がなく、浅川さんは印象的な画をつくるために普段から日常生活で光を意識し、感覚的に覚えているのだそうです。
「照明講座」を通じて、照明があれば、映像表現の選択肢が広がることを実感する時間となりました。
講座が終わった後は、浅川さんを交えた映画制作者の交流会・水曜コネクトが行われました。ここでは講座に参加された映像制作/スタッフ/俳優をされている方と出会い、交流することができるのが魅力的。担当講師の方もおられるので講座中に聞けなかった踏み込んだお話を聞けたりもします。
さて、CO2の映画制作オリエンテーションも残すところ後一回です。
10月22日に行われる濱本敏治さんによる「制作現場(制作進行/助監督)講座」ではどんなお話が聞けるのでしょうか。とても、楽しみです!