2014年9月20日

CO2映画制作オリエンテーション第3回/「編集講座」レポート

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9月10日(水)、第4回CO2助成作品『都会の夢』監督・高木駿一さん(映画作家・ビジュアルアーツ専門学校大阪非常勤講師)による『編集』講座が開催されました。

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今回は参考映像を用いた基礎編と、実際の動画編集ソフトを使用した実践編を通じ、映画を編集することについて学んでいきました。

まず、現像されたフィルムをロールの中から探して繋ぎ合わせる「フィルム編集」や二台のビデオデッキで映像をダビングしながら編集する「リニア編集」と較べ、現在、家庭用のPCに動画編集ソフトさえあれば、映像データを自由自在に編集することのできる「ノンリニア編集」の普及によって商業・インディペンデントを問わず、映像編集の可能性が広がっている状況を知りました。
その反面、技術の発達で映像編集の可能性が広がった分、撮影素材が増えたり、撮影時のミスが修正できたりと、後は編集でどうにかしようという後回しの考え方がクオリティをさげていると厳しい指摘もありました。

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高木さんは「映画という物は脚本執筆、撮影、編集にわたって誕生する」というブレッソンの言葉を引用し、『編集』とは、物語の流れを繋ぐだけではなく、脚本に基づき撮影現場で意図を持って断片化された時間の流れを、作品独自の時間の流れに再構築する重要な作業だと強調されました。
その編集を支えるものとして、セルゲイ・エイゼンシュテインの確立したモンタージュ理論、W・D・グリフィスのカットバック、アクションつなぎ等のテクニックの詳しい解説が、実際の映画の抜粋映像を参考に見ながら行われました。普段映画などで見慣れている何気ない編集の繋ぎひとつとっても過去の積み重ねがあるから今があるのだと実感しました。

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後半はテキストと実際の動画編集ソフトを使用した編集の実践でした。
今回、使用された動画編集ソフトは高木さんが普段使用されているAVID「Media Composer」。
クランクアップから完パケまでのポスト・プロダクションの流れの簡単な説明が終わると、高木さんの監督したショートフィルムの素材を使用しながら、プロジェクトの作成から映像の切り貼りまで編集ソフトの基本操作の説明がされました。実際の素材を編集しながらの講義なのでとても分かりやすい説明でした。

高木さんが念を押していたのが、動画・編集データは一旦消去されると修復できないので必ずバックアップをとること。予算も日数もない中、データがクラッシュして使えなくなった!なんてことは想像するだけで寒気がします。高木さんは、映画の中の時間や登場人物の感情の流れをどう印象づけ、強調するかを意識しながら、映像を何パターンも繋ぎ直しながら編集を進めるそうです。
そして、回想などで誰の視点かを表現する為にエフェクト効果を活用したり、編集ソフトでは音声編集もできるので場面転換を予感させる為に音声を先行させたりと、実際の編集作業に合わせて様々な機能の紹介も行われました。

こうして見ると、デジタル技術で映像がデータ管理されることで、膨大なフィルムロールやビデオテープの中から素材を探す手間が省け、編集したい箇所を自由自在に選択・修正、さらにはエフェクト効果まで活用できる「ノンリニア編集」が一般まで普及し、映画の編集が身近になったことから、よりそれを使う技術力が試される時代になったのだと感じずにはいられませんでした。
だからこそ、高木さんの「技術は技術だけでは意味がない。何を意図して、何を伝えたいかを持ち、編集に取り組んで欲しい」というしめくくりの言葉がとても印象的に残りました。

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講座の終了後は水曜コネクト(映画制作者の交流会)が行われ、京都・神戸を拠点に映像の企画制作を主に様々なデザインやディレクションを行うクリエイティブユニット『Focha!―フォチャ!』のオオギシトモヒロさんと重光あさみさんがゲストとして参加されました。二人が制作されたPVを拝見しながら、ユニットで活躍するメリットや難しさについて話を聞くことができました。

また、講座に参加されていた他の制作者さん達とも知り合うことができ、色々と輪が広がることも交流会に参加する良さだと思いました。

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《水曜コネクトゲスト:『Focha!―フォチャ!』のオオギシトモヒロさん、重光あさみさん、9/13に特別ゲスト講座の講師を努めていただくキネプレ編集長森田和幸さん》

次回、9月24日(水)の松野泉さんによる「録音/整音」講座も、とても楽しみです!


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