2013年10月7日

第10回CO2・助成作品制作スタート!(1)太田信吾監督インタビュー

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?太田信吾(おおた しんご)
1985年生まれ。長野県出身、横浜市在住。早稲田大学の卒業制作として引きこもりをテーマに制作したドキュメンタリー『卒業』がイメージフォーラムフェスティバル2010優秀賞・観客賞を受賞。 友人の自殺と真正面から向き合い、7年間の制作期間を経て完成した『わたしたちに許された特別な時間の終わり』が山形国際ドキュメンタリー映画祭2013アジア千波万波部門に選出。 俳優として「チェルフィッチュ」や「劇団、本谷有希子」に出演するなど、舞台・映像を横断して活動している。本作が初の長編劇映画となる。

 

 

 

 

★インタビューは2013/9/25に行われたものです

1)映画を撮り始めたきっかけ

学校は文学部で、高校のときに引きこもって映画ばかり見ていた時期があり、衝撃を受けたのは河瀬直美さんの『萌の朱雀』です。
役者さんではないおじいさん、おばあさんが暮らしている様子が写っていて。
もっとパーソナルなものに目を向けてもいいのだと感じたのと、その人にしか撮れないものを撮っていいいんだと。映画は集団でやるものだと思っていたんですが、自分の中で感じた問題意識を掘り下げて行くためにも、映画は使えるんじゃないかなとその時感じて。機会があればやってみたいと思っていました。

将来が不安でもあったので、引きこもりつつも留年もせず進学は出来たんですが(笑)。
集団に馴染めなくて、大学は2年留年して卒業しました。

初めて撮ったのは『卒業』という作品。親としては大学卒業後大手の企業に入って欲しかったんですけど、僕自身は企業に所属しながら働くことに息苦しさを感じていました。
映像を通して、何故就職活動があるのかを探ってみようと思いました。大学3年生の時から何故1年以上先の仕事を決めるための活動をしないといけないのか。色々考えて仕組みを疑ってみたいなと。
親との対話を記録しましたが、カメラを通して向き合うことで価値観を擦り合わせていき、冷静になれる部分もあったので、カメラがないと言い合いになって辛かったと思います。

 

2)CO2を知ったのは
友人に、大阪にこういう仕組みがあると聞いていて、いつか縁があればやってみたいと思っていました。今回大阪を舞台にした映画を構想していた時に思い出して応募しました。

3)応募した企画を一言で表現する。
「ブレてもいいんじゃないか」
ブレるってネガティブに捉えられがちですけど、理想と食い違って上手く行かない時に、違う生き方をすれば上手く行く場合もあると思うんです。そこを映画を通して描きたいですね。

今年の山形国際ドキュメンタリー映画祭で上映されることになった作品で、親友のバンドマンを7年くらい追いかけたんですけど、理想を叶えられず自殺してしまったんです。やりたいことにがんじがらめになってしまって、結果的に自殺をしたことは否定したくないんですが、そういう生き方もあるということで認めるしかない。でも、「もっと違う生き方もあったんじゃないか」と。彼に投げかける言葉を考えて今回の企画を立てました。

 

4)企画が評価された点
強くぼくが言ったのは「ドキュメンタリー的な撮り方をします」ということ。実在する人物で、演技で到達出来ないものを目指しますが、今迄ドキュメンタリーで培って来たものがあるのでその辺を買って貰えたのかなと思います。
CO2は劇映画なので台本を書いてやるんですけど、演じる人の生身の魅力をしっかりと描いていきたいです。

言葉は言いたいことがあるから言葉にするんですけど、この瞬間を、この人を、生き様を伝えたいと思うから映像にするんです。自分が出会った人たちや問題意識を誰かと共有したいですね。

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5)CO2で目指したいところ
納得する形で完成したいですね。限られた時間の中で全てを出し尽くしてどれだけやれるか。内的なものに止まらず、映画を人に伝えていくという意味で、大阪アジアン映画祭後も色々な形で上映できるようなクオリティのものにしたいです。

 

6)出来上がった作品の展開は?
5月のカンヌ映画祭が目標。その後、大阪をはじめ都内の劇場で上映できるようスタッフみんなで動くつもりです。

 

7)役者に希望すること
オーディションだけだとこちらが受け身になって偏ってしまうので、スカウトもやりたいです。特にその気がない人をいかに説得してのせるか(笑)。バランスをとってやりたいですね。
映画の主人公を解放的にさせるきっかけになる人は、西成の60歳くらいのおっちゃんがイメージ。ツッコミの力のある、いいおっちゃんの役者さんがいたら教えて欲しいです。

 

8)求む!ロケーション情報
床屋さん。立ち飲み屋さん。古道具屋さん。あいりんセンターでも撮影したいと考えています。


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