ゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて第８回ＣＯ２助成作品の『蒼白者』が上映されました。２月２３日と２４日に渡って舞台挨拶が行われ、２４日には監督の常本琢招さんと主演のキム・コッビさん、李勝利さんが揃って登壇。
＜『蒼白者』制作の経緯＞
常本：２年前にキム・コッビさんとゆうばりで出会ったことがきっかけでできた作品。映画では『息もできない』の印象が強く、ご本人の印象は透明感のある女優さん。この人に拳銃を持たせてみたいということで塩田時敏さんに紹介していただきました。“シナリオが面白ければ考えます”と返答をいただいて、ＣＯ２に応募して企画が通ったので、大阪を舞台にキム・コッビさんの話でいこうということになりました。脚本は友人で『バトル・ロワイアルII 鎮魂歌(2003) 』の木田紀生くん。彼も大阪出身で犯罪ものを一緒にやろうと話していました。撮影は２週間。大阪と韓国で撮りました。
＜『蒼白者』というタイトル＞
常本：クリント・イーストウッドの『ペイルライダー』という作品は、街が悪い奴らに支配されていて、女の子が助けを求めると幽霊であろう牧師がやって来て悪い奴らを倒して去っていく。その設定を逆手に取って悪い世界に囚われている忍成くんを助けに韓国から女がやって来て救い出して去っていくという話にしようと思いました。『ペイルウーマン』を日本語にすると『蒼白者』になりました。
＜何故犯罪メロドラマ？＞
常本：中学生の頃、よく観ていた日活アクションや東映のヤクザアクションなどがあり、70年代の頭には東宝アクションがあったんです。若者が主人公で青春の閉塞感が題材にしていてそれが好きで観ていた。その世界を再現したかったんです。
＜常本監督から見たキム・コッビさん＞
常本：演技の幅がすごい方。振り子でいうと、大体役者さんは０が基準としたらマイナスとプラスに振れる引き出しを持ってるんですけど、キム・コッビさんの場合は触れ幅がぐーんと大きい。色々な役が出来るし、これだけ感情の引き出しがあるのは何故だろうと思うくらいです。
＜キム・コッビさんから見た常本監督＞
コッビ：監督は細かいところまでみてくださって、色々な感情を引き出すことを助けてもらいました。
＜李勝利さんから見たキム・コッビさん＞
李：コッビさんは笑顔が素敵で現場でも雰囲気を作ってくれました。初めて共演するときも自然体で演技されていて、僕も役に入りやすかったですね。
＜常本監督から見た李勝利さん＞
出演のきっかけはＣＯ２オーディションだった李勝利さん
常本：僕は岡本喜八監督が好きで、佐藤充さんが主演で個性的な演技をします。その佐藤さんの若い頃のようなアクの強さを李さんに見てご出演願いました。
＜過激なシーンを演じて＞
コッビ：人は見た目だけでは判断できません。見た目が真面目でも内面は分からないし人間の中には善悪が一緒にあって、決断せざるをえない場で初めて判断できると思っています。
＜撮影のエピソード＞
コッビ：クランクインの日が忍成修吾さんと初めて会ったのにキスするシーンの撮影でした。外国でのクリスマスに見知らぬ男と初めてキスをしたのが印象に残っています（笑）。
＜中川安奈さんについて＞
常本：僕が学生の頃スクリーンで活躍していて中川さんの大ファンでした。結婚などでスクリーンから遠ざかっている時期が長かったんですけど、最近舞台を中心に活動を始めたのを聞きつけて出演をお願いし快諾いただきました。
『蒼白者』は「ＣＯ２レトロスペクティブ２００４?２０１１」にて３月１５日に上映後、東京で公開を予定しています。
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【『大阪蛇道』李勝利さんミニインタビュー】
第６回助成監督・石原貴洋監督の『大阪蛇道』が２月22日、24日にゆうばりファンタにてプレミア上映されました。主演は坂口拓さん、仁科貴さん、田畑智子さん。李勝利さんは特殊な役柄で堂々出演。坂口拓さんとのアクションも披露しています。
――殺戮マシーン・テイオン役で印象的な演技でしたが、石原監督の作品に出演していかがでしたか？
李：特殊な役で自分の良さを（アクションが出来るのが）全面的に生かせた役ので良かったです。石原監督とは初対面の時に「李くんいいね。シュシュッと動いてパッと殺しそうだね」と言われました（笑）。石原監督とは演技面でもコミュニケーションが取れて相性が良かったです。
その後「映画の中で一番どうしようもない役だけど」とオファーしてくれました。
――坂口さんとはいかがでしたか？
李：撮影中に石原さんは坂口拓さんに「李君どこから見つけて来たの？」と聞かれて「紹介ですけどアクションできるっていうから」。「拓さんには“自分でアクション出来るって役者ほど出来る奴はいない”って言われたけど、今回は李くんの勝利やね」と言ってもらえました。
――印象的な役回りでしたね。スカパーでも放送されますから今後いいお仕事につながるといいですね。
李：色々な縁があってのことでした。次のチャンスを掴みたいと思います。