10回に渡って開催するCO2連続ワークショップが9/29から始まりました。
開始にあたって講師の富岡事務局長と福井氏からワークショップの主旨について説明がありました。
<講師・富岡より/自主映画と演出を考える>
自主映画の問題点は「演出がない」こと。監督のイメージに合った人をキャスティングして制作する傾向がみられます。
最近の作品で多いのは、「私」を中心に日常から想像して演技を作ること。これでは「私」が想像できる範囲は表現できますが、それ以上の広い世界の物語は語れません。
では、幅広い物語を語るにはどうするのか?
まず「私」発信という考えを捨てます。「物語」を中心に、各役が物語にどう貢献するか、どう面白くしていくかを俯瞰の自分が考え、役を作っていくのです。演者であり演出家になるわけです。
日常では体験できないものを味わうのが映画の醍醐味。物語を魅せるためのキャラクターや演技をこれから皆さんと考えていきます。
肉体を思うように動かせる。台詞を言える。
これが俳優の基本です。このワークショップでは、監督・演出希望の人も俳優として実践してもらいます。演じる側にとって何が難しいのか。何が簡単なのか実感してもらうことで演出に役立てるためです。
最近高倉健主演の『あなたへ』が公開されましたが、この映画へ観客が期待するものは何か。高倉健の演技ではないでしょうか。
ありきたりな台詞が生き、何でも無いシーンが印象に残る。俳優の魅力で観客が飽きずに見られる。
それが必ずしも映画として正解というわけではありませんが、それだけの力を俳優は持てるということです。
これから皆さんと一緒に魅力ある俳優の演技についても考えていきます。
<ワークショップ・実践編>
【喜びの表現】
5、6人が1つのグループになって挑戦したのは「合格発表で喜ぶ」。ここで取り入れるのは
?喜びの持続→カットがかかるまで喜びの演技を続けます。
?体を使った表現→腕を上げたりジャンプしたり、誰が見ても喜んでいることが分かるように動きをつけます。
?各自小道具を1つずつ使う
一通りやった後、合格できなかった人を集団に入れ、各自反応をプラスします。
・・・これが中々難しい。“知らない人同士の集まりなのに一体感が出てしまう”“小道具を使った時に同じ動作の繰り返しになる”“説明的な台詞を言ってしまう”などの指摘がありました。
【ポイント】
★普段は自分が使わない筋肉を意識する;面白い動きを生み出します。
★観客が何も知らない状態で何をしているのか分かるか?:説明的な台詞は使わない。動きで見せる
次回は録画した映像を見ての検証と次のお題に取り組むことになります。
<名作を題材に>
『卒業白書』『アリスの恋』『素晴らしき哉人生』『スケアクロウ』といった名作を題材に、喜びの表現について考えて行きました。
「どれくらい体を動かせば喜んで見えるか?」「感情の流れを考えて表現すること」などの指摘がありました。映画はその瞬間だけを切り取る写真ではありません。感情がエスカレーションして大きなリアクションに結びつく様を丁寧に表現することが大切です。
「映画は監督のものだけではない。リアクションは役者の提案も重要」。
このワークショップを通じて、脚本の行間を魅力的に見せる提案力のある役者を目指そうという大きな目標でもあります。
<宿題>
このワークショップでは毎回宿題が出ます。映画を鑑賞して構成を考えていく作業で、作品は主にプラネット+1にて期間中に鑑賞可能なもの。ワークショップ参加者は無料で鑑賞できます。
今回はヒッチコックの『白い恐怖』について、A4一枚に、ストーリーの軸とどういった話か事実関係、行動をまとめて書くというもの。
この宿題は次回各自が発表していきます。
ということで初回ワークショップ、皆さまお疲れさまでした!