CO2初の特殊メイク講座の講師は仲谷進先生。1992年に『SPECIAL MAKE-UP & EFFECTS KID’S COMPANY』を設立し、大阪を中心に映画、TV、CM、PVなど特殊メイク全般を手掛け、大阪モード学園、ECC アーティスト専門学校 、大阪デザイナー専門学校で特殊メイクアップの講師として指導も行っていらっしゃいます。今回レクチャーしていただいたのは傷メイクです。 | |
■手指欠損メイク | |
(1)続いて西村さんによる手指欠損メイク。ご自分の左手の中指に施されました。ワックスでちぎれた第二関節を造形。 | (2) 筆を使って微妙な色合いを調整します。 |
(3)荒いスポンジで 仕上げに入ります。この間わずか10分足らず。 | |
(4) 完成。 | (5) 中指がとんでもないことになりました!!! |
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デモの後は仲谷先生にお話を伺いました。 | |
高校卒業後に特殊メイクの工房に弟子入りしたという仲谷先生。最初は工房の掃除しかさせてもらえなかったそうです。掃除を完璧にするところから始めて、師匠の仕事を見て、この作業のときはどの材料を使うといったことを完璧に覚え、次第に作業をさせてもらえるようになってからは実力が付くのも早かったそうです。その後独立、1992年に『SPECIAL MAKE-UP & EFFECTS KID’S COMPANY』を設立されました。
Q:苦労した仕事はどんなものでしたか。 仲谷:一番大変なのは製薬会社の症例に合わせた傷のダミー制作です。事前に何回か会社にテストをしに行くんですけど、専門家が見て様々な意見を出してくるので持ち帰って前のメイクに足していきます。これが中々大変な作業です。難しいことを色々考えて行き詰った時に、一旦頭を真っ白にして身近なものでやってみると意外とすんなりできるんです。再度チェックを受けて「これなら大丈夫」と言われた時が一番ホッとする瞬間ですね。
Q:無茶を言われることはありますか
仲谷:昔はよくありましたが今は少なくなりましたね。貼り付けのものでも明日撮影したいと言われたり。顔型を取って、造形して、おこし直して、フォームを焼いてという工程を踏むので無茶なんですけど、つい最近もどうしてもと言われてやりました。もちろん満足できる仕上がりにはなりませんが、名前が出る以上は出来る限りのことをやるしかないですからね。 昔は徹夜仕事が多かった中で、最長16徹なんてこともありましたね。上で2、3時間ずつ交代で仮眠しながら、下の工房はずっと稼動している状態。最近は数が多いような大掛かりなものが減って、細かい依頼が多いのでそんなこともなくなりました。映画は細かいものを含めると年に2、3本やってます。 |
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手前の人頭は仲谷先生ご自身のダミーヘッドです。髪の毛も細かく植え込んでいます。 | |
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Q:今まで使ったへんな素材は何ですか
仲谷:ブタの腸や本物のウジですね。ウジは釣具店で売ってるんですけど、早く使わないとハエになってしまうから大変でした(笑)
Q:傷メイクで使った道具はセットにして発売しないんですか
仲谷:それはよく聞かれます(笑)。うちの会社も海外のシネマシークレットっていう商品を輸入するお手伝いをしているんですが、ドンキホーテや東急ハンズで買えますよ。それを少しプロ仕様にしたものの発売を準備している最中で、講習会なんかも考えています。 ハロウィンの時期にはパーティー用メイクの依頼もあって忙しくなりますね。東急ハンズには3000円くらいでワンパーツのセットがあるので、買った人にプラス1000円でメイクまで仕上げるといったことを学生とやっています。 ハロウィンイベントは、2010年から東京で、2011年は震災の影響で東京はなかったんですが、博多、名古屋、梅田、心斎橋でやりました。大阪人の方がノリがいいかと思っていたら、はるかに関東の方が凄かったですね。徐々に関西でも定着してきたみたいで、心斎橋で行われるイベントなんかはかなり盛り上がってますよ。 |
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Q:映画やイベント以外で、一般の人からのオファーはないんですか
仲谷:受験シーズンになると必ずあるのが、ピアスの穴を隠してほしいって依頼ですね。(会場笑)結婚式でワンポイントのタトゥーと隠してほしいとか。あとは、パーティーやイベントなんかでお金を掛けてもやりたいって人も増えてますね。
Q:今後について 仲谷:手で作ることの限界があるかもしれませんし、デジタルがどこまで発達するかも分かりませんがしれませんが、手で作るリアルな造形物の路線は今後も追及して、新しい素材や技術を取り入れながらやって行きたいと思います。
富岡CO2事務局長:昔の特殊撮影を観ても、物が実際そこにあることによって役者のリアクションが違いますからね。物がそこにある強さにはCGは勝てないと思います。 |
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今年のCO2助成作品でも仲谷先生の特殊メイクが登場します。3月10日(土)から始まる「第7回大阪アジアン映画祭インディ・フォーラム部門」にご期待ください! |