2011年8月27日

レポート8/2(火)特別ワークショップ「特別映画講座/アレックス・ツァールテン(2)」

ヨーロッパにおける日本のアニメ人気

65年「少年猿飛佐助」映画、71年「マッハGoGoGo」、74年「小さなバイキングビッケ」、76年「みつばちマーヤ」

この例はごく一部ですが、アレックスさん自身も、どこの国のものかは分からないまま(制作会社名はカットされていた)、こういったアニメをよく見ていたそうです。
95年の「美少女戦士セーラームーン」は女の子に人気があり、一般的な人気を博しました。
2000年初頭には、経済産業省が“JAPAN COOL”をヨーロッパやアメリカに対してアピールしました。
イラクで支援活動をする自衛隊の給水車の車体に『キャプテン翼』のイラストが描かれたのは有名なエピソードです。

各国で放送される際には、各国の事情を反映した改変が施されました。『ポケットモンスター』のピクニックのシーンでおにぎりがサンドイッチになったり、『美少女戦士セーラームーン』の入浴シーンで水の下が透けている描写が、アメリカではべた塗りになっていたり。

最近はインターネットで情報がすぐに出るため、ファンの要望が厳しく改変されなくなってきました。日本のアニメの普及には海賊版が大きく影響していて、海賊版で人気が出ることでソフトが売れたという流れがありました。

ファンの熱狂振りがよくわかるのが、例として取り上げられた作品の3つの字幕です。
1:台詞 2:流れている歌の歌詞 3:アニソンといったような用語の解説
ファンが本物を求めるため、制作会社もそんな傾向に合わせるようになったとのことです。

 

日本のインディペンデント映画はヨーロッパでどう上映されたか

ドイツ・イギリス・スウェーデンではあまり一般公開がないそうですが、フランスだけ別格で、若松孝二監督、河?直美監督は一般公開で人が入るそうです。
昔ベルリン映画祭で『逆噴射家族』がTV放映されましたが、今はこういった流れは無くなったとのこと。ドイツで公開された北野武監督作品は、ドイツ人のオリエンタリズムに合致した『HANA-BI』『Dolls』以外は赤字とのことです。

今年ドイツで公開されるのは中島哲也監督の『告白』、いまおかしんじ監督がドイツの会社と共同制作した『おんなの河童』。いまおか監督はニッポンコネクションにも4度招待され、『たまもの』は『ランチボックス』と言うタイトルで公開されています。いまおか監督は女性に人気があり、人生を悩みながら真剣に思いつめる訳でもない、若い世代の実感を魅力的に撮っています。

世代と言えば、ニッポンコネクションで三世代の監督による座談会を催したことがあるそうです。若松孝二監督は、映画で政治的な発言をした世代で、これを言いたかったからこうした!という主張がはっきりしています。佐藤寿保監督は、革命、暴力に対する憧れがある世代で、社会意識がありどうやったら社会に参加できるかが悩み。 田尻裕司監督は、どう発言すればいいのかわからないという世代のスタンスが出た座談会になったそうです。

ピンク映画のジャンルは10年前誰も分かっていなかったそうです。映画祭でピンク映画が見られるようになったことで、政治的・POP・実験的・エッチでエキゾチック、魅力的なものとして認知され、2000年代にブームが起こりました。女池充監督の『花井さちこの華麗な生涯』は映画祭の好評を受けてアメリカで一般公開されました。三池崇史監督が始めた変なジャンル?スプラッター・バイオレンス・パロディ・エロティックが一体になった作品群も人気を博しました。

90年代には井口昇監督、特殊造形の西村喜廣監督が活躍を始め、2010年には日活がSUSHI TYPHOONというレーベルを興しました。アレックスさんとしては、井口監督の優れたパロディセンスは素晴らしいが、SUSHI TYPHOONという名前自体、意識的にステレオタイプを出そうとしているため、海外の観客にどう捕らえられているのか疑問があるそうです。

これまで劇場公開はDVDマーケットを見据えての戦略でしたが、これからはTVかビデオオンデマンドが主流になるのでは、とのことです。

 

日本のインディペンデント映画の変化

日本映画を積極的に取り上げる映画祭が増え、プラットフォームが変わって来るのと同時に、監督たちが積極的に動き始めたるようになりました。バルセロナアジア映画祭、オランダのデジマ映画祭、オランダのカメラジャパン映画祭、アメリカのJapan Cuts、トロントの新世代映画祭などなど。

また8ミリ→ビデオ→デジタルへの移行に伴い、日本映画界自体が大きく変わってきました。大作と低予算映画の真ん中の規模の映画がなくなりました。ハリウッド映画はまだまだ層が厚いとのこと。真ん中で撮っていた層は低予算に行く傾向があり、大バジェットを撮るのはTV出身の監督が多いのが現状。15年前はインディペンデント映画と言えば映画を仕事にしていない人が作っていましたが、今はメディアに携わっている人も多く、レベルが高いのはよく観る方なら実感するところでしょう。しかし一般の客の認知度はまだまだ低いのが課題です。

 

さて最後に前回のクイズの答えです。
正解は昭和ゴジラシリーズの本多猪四郎監督でした!


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