2011年8月27日

レポート8/2(火)特別ワークショップ「特別映画講座/アレックス・ツァールテン(1)」

ニッポンコネクションの成り立ち

さて今回特別講師としてお招きしたのは、アレックス・ツァールテンさん。ドイツのフランクフルトで開催されているニッポン・コネクションを立ち上げたメンバーの中心人物です。キュレーターとアドバイザーといった様々な映画関係活動をする傍ら、明治学院大学の特別研究員として現在のメディアミックスについて研究。ニッポン・コネクション10年を期に運営から離れ、現在は韓国・東国大学で講師を務めています。

「ニッポン・コネクション」記念すべき第1回目に山下敦弘監督が『どんてん生活』で招かれたとき、上映作品は13本。最初は1回だけの日本の若手監督の上映会として企画。普通の映画祭と違うコンセプトでやることが必要だと考えました。他の映画祭のポスターを見ると、“ポップでエロなアジア女性”という伝統的イメージで、ヨーロッパ人のオリエンタリズムが無意識に出ています。また、NYアジアン映画祭ならスプラッター系、韓国のチョンジュ国際映画祭ならアート系です。

ニッポンコネクションは3つの柱として35ミリ部門、デジタル部門、レトロスペクティブ部門を設定。ブロックバスターから実験映画、インディーズ系のアニメーションまで幅広くプログラミングしました。集客のために様々なイベントを企画、ソバ、カラオケ、日本のビデオゲームを楽しめたり、座談会、発表会、剣道、茶道といった、ヨーロッパ人が想像する日本を提供しました。ステレオタイプを期待して来た観客のイメージが映画を見ることで壊れることを狙ってのことだそうです。

1年置いた翌年より毎年4月に定期開催することに。10年たった今では上映作品は約130本。約1万6千人もの観客が集まるようになり、世界最大級の日本映画際に成長しました。ニッポンコネクションの観客は、日本のカルチャーが好きな子達が多く、ついでアニメ、ポップ、ゲーム、最後が映画ファンとのことです。

始めた当初は、今のようにインターネットが普及していなかった時代で、インディーズ映画の情報を集めることが大変だったとのこと。その上、海外で上映するということを考えてもいない監督が多かったため、交渉に苦労したそうです。

 

ニッポンコネクション10年で観客はどう変わったか

昔は35ミリの大作部門に人が集まり、デジタル部門に集まるのはマニアックな人でしたが、現在では逆転してきたとのこと。

三池崇史・北野武といった知名度がある監督の作品から、ストーリーが面白いものに集まるようになりました。

日本に対する知識は増えていますが、観客の質問を聞くとまだまだオリエンタルを求めている傾向はあり、ステレオタイプの枠を変えるのは難しいと実感するそうです。

質問は、映画に出てくる日本の文化や習慣を解釈に悩んでといったものが多いとのことです。

ニッポンコネクションでは、メジャー作品とは違う価値観で観る人が増えるように、常に紋切り型でない作品を求めているそうです。

 

 

 

 

さてここでクイズです

西ヨーロッパで公開された日本の作品、上位2位3位の監督と本数は以下のとおり。
1位は19本公開。監督は誰でしょう?

3位-8本:北野武
2位-12本:黒澤明
1位19本: ??

答えは次回、お楽しみに!

 


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