※各監督の企画概要は11/1時点のものです。
鈴木洋平『丸』(仮題) | |||
【プロフィール】 1984年茨城県日立市出身、水戸市在住。28歳。 多摩美術大学映像演劇学科卒業。 過去作は第 5回 CO2 オープンコンペ部門入選作『空気に殺される』や『素人アワー』『橋の下の葬儀』など、ニッポンコネクション2010にて特集上映された。 『もの、物、者、もののけ』は調布映画祭2012奨励賞、よなご映像フェスティバル入選。 元々実験映画が好きで、高校の文化祭で初めて映画を撮ったという鈴木監督。現在はブライダル関係の撮影や編集に携わりつつ映画制作に取り組んでいて、これまでに5本の作品を完成させている。
鈴木:不健全でない制作のスタイルを目指した結果です。友人に甘えても結局お金は払えないので、身近なところで出来る方法をその都度探って来ました。今回は地縁で繋がった人たちに制作資金を寄付してもらうことにしました。寄付してくれた人向けの上映会なども、来年三月の大阪アジアン映画祭のあとすぐに実現するように今の段階で動いています。地元で応援してくれる人たちの力を何とか映画に生かしたい、その中で家内工業のような制作スタイルと合わせて上手く出来たらと思っています。 『丸』は、平凡な一軒家に球体が現れ、目撃した家族たちが次々に静止する。駆けつけた警官も静止し、人質事件に発展するが…という不思議なストーリー展開を見せる。作品のテーマは“球体が現れて、見た人が静止してしまう”。鈴木監督はこれが企画が評価された点であり、制作にあたっての課題でもあると考えている。
鈴木:これは、何かを考えている時の自分です。表面上は止まっているけど内側では思考が巡らされている。止っているように見えて、実は高速で動いているイメージですね。“丸”は何か?という問い、それを物語の中で捏造して行けたら面白いでしょうね。この問い自体が抽象的なので答えは無数にある。だからこそ『答えはないんだ』と開き直るのは絶対にやめたい。現実では問題が山積みで、その問題に対峙すると静止してしまう。しかしこれは映画だから、そういった現実にそった答えは必要ないんです。物語における答えを出したいと思っています。むしろそれを押し付けるような気持ちでやりたいと思います。非常に難しいですけどね。第5回のCO2のコンペに入賞した『空気に殺される』とモチーフが近いですね。「空気を読む」とか「空気が作られている」とか言いますけど、それ自体問題を総括する言葉でその時点では事象を掴んでいたとしても、時間と共に変化していくものです。そんなタイプのモチーフであることが映画の強みでも弱みでもあると思います。 『丸』の作品の方向性については、“観客”を意識するあまり方向性を見失わないようにしたいと自戒する。
鈴木:“こうしないと観客に分からない”とかよく言いますけど、“観客”ってこの企画の“丸”みたいな存在。抽象性に騙されないようにしないと。映画自体は抽象的なものではあるけど、抽象的な方向に受動的に流れないようにしたいですね。 |
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山田剛志『GET BACK NIGHT』(仮題) | |||
【プロフィール】 1988年神奈川県川崎市出身。24歳。高校二年時にDVカメラでクラスメートを撮影した『KIDS FICTION』を監督。映画表現に興味を持つ。大学在学中の2009年に映画美学校フィク?ションコース13期初等科に入学。修了後も自主制作映画の現場に参加し、自らも短編映画を監督する。過去作として『脱運命』(2011年)、『トーキー』(2012年)がある。
山田監督が初めて映画に係ったのは高校時代。クラスで学園祭で上映する映画を撮ることになり、ラブストーリーの監督・カメラ・演出・記録を担当した。
山田:画面に写るクラスメートがフィクションを間に挟むことで、新鮮に、愛おしく思えたんですね。それで映画制作にもっと興味が沸きました。 『GET BACK NIGHT』のテーマは「自分の人生を生きようとする人達を描く」と語る。
山田:フィルムノワールをやりたいと考えています。定義として夜間撮影が多い、犯罪を題材にしているということが挙げられますが、それよりも大きな要素として人間の暗い欲望を描いている点を重視しています。夢遊病に苛まれている結婚前の女性がヒロイン。受身のヒロインの存在によって自分の暗い欲望に直面していく2人の男性の姿を重層的に描いていきます。 鈴木監督と野口監督の企画がSF的設定であるのに対して、普通の設定で、登場人物の関係性が目まぐるしく動く人間ドラマであることが評価されたのではないかと考える。選考ではプレゼン能力の重要さを痛感した。
山田:自分がやりたいことを明確に言葉に出来ていなくて、全く伝えきれていないんです。自分を変えたいと思って準備して今回「コネクト・フォーラム(※)に臨みました。見ず知らずの人を惹きつけるようなプレゼンは課題ですね。 CO2で助成監督に選ばれたが、気負った様子はない。
山田:願ってもないチャンスです。プロっぽくやろうとは思わない。経験の浅い部分で誰も観たことがない斬新な映画が作れたらと思います。今回は初めて長編が撮れるので有難いです。 |
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野口雄也『壁の中の子供達』(仮題) | |||
【プロフィール】 1982年東京出身。30歳。俳優として映画制作に参加する傍ら、映画脚本や小説の執筆をはじめる。 CO2には、第7回助成作品『大野リバーサイドパーク』(2011年?監督・尾崎香仁)で、俳優として参加。本作は、7年前に執筆した自身の小説「KLON」が原作。今回初の長編映画となる。
映画を作り始めた大きなきっかけは特にないという野口監督。映画少年だった訳でも舞台が好きだった訳でもなく、表現をしたものが仕事になることに惹かれた。
野口:高校生の頃から興味はあったんですけど、やり始めたのは22歳から。目立ちたがりやだったのかも。最初は自主制作映画に出始めて、そこで知り合った監督たちと自分のチームを作って俳優・脚本・制作をやるようになって。自分でも撮ってみたくなり、初監督は26、27歳くらい。10分ほどの短編で、翌年にもう1本撮りました。CO2は第7回の尾崎香仁監督の『大野サイドリバーパーク』に出演しています。 色々やってみたいという興味から、小説の執筆・俳優、脚本も担当。その延長線上に監督があった。
野口:演技の勉強のために脚本を勉強したんですね。脚本が分かったことで脚本家の意図を汲み取ったり映像になったときどんな風になるのかが明確になりました。逆に、監督をやる時もこういう事を気をつけようとか、新鮮なアイディアや発想が生まれてきます。 『壁の中の子供達』は、壁を隔てた隣町がクローン人間の町と言われている不条理な世界を舞台に、壁を越えて事実を確かめようとする中学生達の冒険を描く。今まで撮った作品2本のうち最初の作品はクローンが題材だったという野口監督。何故クローンという題材に惹かれるのか。
野口:今回のテーマは、クローンをモチーフに「子供たちの等身大のかっこ悪さ、ダサさ、人間的な面白さを切り取る」です。 『壁の中の子供達』の元になったのは、野口監督が雑誌・ダ・ヴィンチの文学賞に応募した約200ページの中編『KLON』。小説の段階から7年間温めていた企画だ。
野口:CO2の選考では何故クローン人間を扱ったのか、何故壁なのか?街の設定・世界観に対する突込みが多かったですね。でも脚本を読んでいただいた上でここまで残れたので、ある程度は理解していただいたのかなと思います。雑誌・ダ・ヴィンチの編集担当の方から、この作品が上位に残った理由、賞に至らなかった意見もいただいたので、それが脚本につながって良かったです。 『壁の中の子供達』で描きたいのは、SFの要素、不条理の要素といった世界観の中で繰り広げられる普遍的な感情のやりとりだ。
野口:子供たちがどう行動してどういう結末に至るのか。根本になる少年時代の誰もが持っている葛藤を描いて、観客の皆さんに共感や懐かしさを感じていただけたらと思っています。 |
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