2011年11月6日

レポート11/3(木)『新世界の夜明け』トークイベント(1)

10/29(土)より九条/シネ・ヌーヴォにて公開中のリムカーワイ監督『新世界の夜明け』(第7回CO2の助成作品)。前回のCO2助成作品5本の中で一番早く公開となった作品です。おかげ様で公開以来、徐々に動員数が伸びて来ております。

さて本日は、リム・カーワイ監督と、謎の追跡者役のJUNさんとCO2事務局長の富岡邦彦によるトークショーが開催されました。

リム監督「去年のクリスマス、北京にカメラマンと2人で撮影に行ったんですけど、大阪市の助成金が使われている映画ですから、お金を使って中国に逃亡するんじゃないかと心配して富岡さんがついて来たんです(笑)」

富岡「もう1つは、アジアンミーティングの作品のセレクションもあったんです。『青い車』の奥原浩志さんが中国にいるので色々案内してもらったり、リー・ホンチー監督(『ルーティーン ホリデー 黄金周』)に会ったりしたけどね」

リム「でもメインの理由は監視ですね。“大阪市の助成金なんだから、ちゃんと考えて使ってくれよ”って何度も言われました(笑)。富岡さんは北京のインディペンデントの状況を見てどうでしたか」

富岡「北京の電影大学は、中国中のエリートが集まって卒業して監督になる訳ですけど、チャン・イーモーとかジャ・ジャンクーもそうです。ジャ・ジャンクー以降はインディペンデントで撮られる作品が増えています。北京に行って一番の驚きは、日本に戻ってきたスタッフの1人も言ってましたが、世界で一番自由に映画が撮れるんじゃないかってこと。それは、どこで撮影するにしても結構ゲリラでやってるんです。日本だとちょっと場所を変えるとすぐクレームが来て警察がやって来る。北京って、矛盾するようですが映画を撮ることに関しては一番自由なんじゃないかな。逆のイメージを持ってる人が多いと思いますが。」

富岡「カラオケスナックのシーンでもゲリラに近い形で、撮影監督が照明器具とか勝手に持ち込んだから、“文句言われるんじゃないの”って言ってたんですけど、案の定クレームが来た。そこに女性の助監督がパッと立ちはだかって凄い勢いで言い返してる訳ですよ。言葉は分からないんだけど、3回くらい言うと「もういいよ」って押し切れる。日本じゃあり得ないですね(笑)」

リム「あり得ないですね。中国人と日本人の違いかもしれないけど、日本人は押して断られると、ダメなら諦める。中国人の場合はへこまない。根性がある。そういう意味では映画を撮りやすいかなって思います」

話は新世界での撮影に。

富岡「北京より新世界の撮影でドキドキしたよね」

リム「富岡さん、新世界の撮影も心配して2回くらい見に来たんですよね(笑)」

富岡「事前に決めたことから結構現場で変更があったり。俺はもう知らん。勝手にやってくれと(笑)神経質に捉えすぎてたってのもありますよね」

リム「そこは臨機応変にやりました。映画を観たら分かると思いますが、ゲリラ撮影も多かったです」

富岡「ダメって言われることに捉われ過ぎてもダメやねと思うね。映画作りはギリギリのところでやっている訳だから、その中で面白いものが出てくることもある。真面目にきっちりやってるだけじゃいい映画は撮れないとは思いますよね(笑)」


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