「日本映画界の変質と危機 1960~80年代」~THE END OF JAPANESE CINEMA~
※終了しました。レポートはこちら→THE END OF JAPANESE CINEMA レポート
■1960年代まで、映画会社が映画を量産し、黒沢明らの巨匠が活躍した。しかし急な変化が起こる。 興業形態、製作形態の変化だけではなく、「映画」に対しての考え方、感じ方、態度などが根本的に変わったのだ。 日本の日常に深く影響を与えたその変容の正体とは。
CO2選考委員やゆうばり国際ファンタスティック映画祭の審査員など映画祭審査員も多数務め、ハーバード大学准教授として 日本映画とメディアを研究するアレックス・ザルテン氏を招き、彼の近著「THE END OF JAPANESE CINEMA」を軸に、 ピンク映画から角川映画、そしてVシネマから〝クールジャパン〟と売り込むアニメやニコニコ動画まで、 60年代から80年代を経過し現代までの日本における映画の危機とメディアの変化を読み解く。
■アレックス・ザルテン氏コメント
「映画」が変容すると、メディア全体が変容する。メディア全体が変容すると、メディアと共に、そしてメディアによって生きている私たちの日常、精神、身体まで変容する。「映画」が根本的に変形する60年代から80年代を辿り、驚くべき現象を再考したいと思います。
〈参考上映作品〉
『どんてん生活』
1999年/日本/84分/16mmフィルム
監督:山下敦弘
音楽:赤犬
脚本:向井康介、山下敦弘
撮影:近藤龍人
音響:前田隼人
制作:真夜中の子供シアター
出演:山本浩司、宇田鉄平、康季丹、前田博通、今枝真紀、柴田剛
■先の見えないぼんやりとした生活を送っている青年・町田努の唯一の楽しみはパチンコ。その日の朝も、真冬の冷たい風に吹かれながら、開店前の時間をボーッとやりすごしていた。そこへもうひとり、朝イチに並びに来る男。なんとその頭はガチガチに固めた特大のリーゼント!男は買ってきた缶コーヒーを務に差し出し言った。「…学生さん?」「いえ…違います…」男の名前、南紀世彦。裏ビデオのダビングで生計を立てている。紀世彦の不思議な存在感に驚きながらも、その仕事を手伝いはじめる務。そこで、その周りを流れ漂う人々と出会っていく。何となく社会に出るタイミングを逃し、何となくそれにも気づかないで都合のいい夢ばかり見ている二人。目標もないけど、でも全然卑屈なんかじゃない。これで、結構情けなく生きるのにも根性がいるのだ!
□2018年公開予定の最新作『ハード・コア』にも期待が高まる山下敦弘監督長編デビュー作である『どんてん生活』は、国内だけでなくロッテルダム国際映画祭をはじめ多くの国際映画祭に出品され、まるでアキ・カウリスマキ(リーゼントがレニングラード・カウボーイズみたいだから!?)やジム・ジャームッシュのオフ・ビートなコメディのようだと高い評価を得た。またこの作品が大学の卒業制作として制作されたというのもひとつの驚きで、監督の山下だけでなく、脚本の向井康介(『マイ・バック・ページ』『愚行録』等)、撮影の近藤龍人(『桐島、部活やめるってよ』『万引き家族』等)にとっても、現在のキャリアに繋がる大きな節目の作品と言えるだろう。この20年の日本映画史を語る上で外せない本作のフィルムでの上映機会をお見逃しなく!
アレックス・ザルテン(ハーバード大学東アジア言語文明学部准教授Associate Professor)
■日本・東アジアの映画とメディアについての研究。2002年から2010年までドイツのニッポンコネクション映画祭のプログラム・ディレクターとして務め、2011年から2012年までソウルの東国大学助教授として務める。著作は「The End of Japanese Cinema」(2017)マーク・スタインバーグと共編の「Media Theory in Japan」(2017) など。
スケジュール | ―7/1(日)―
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料金 | 3000円(映画鑑賞料金込み)/10代無料(要証明書) |
会場 | プラネット・プラス・ワン(大阪・中崎町)/CO2運営事務局(大阪・中崎町) |
事前申込み | 入場はメール予約いただいた方優先となります。 info@co2ex.org(CO2運営事務局)まで、件名「CO2映画講座申込み」、本文に氏名、連絡先をお書き添えの上ご連絡ください。 |