JISYU

〈自主映画アーカイヴ上映〉
:History of Japanese Independent Amateur and Students films

JISYUとは?

〈自主映画〉の歴史を発掘し、隔月で上映していく。

●日本における自主制作映画、学生映画、個人映画の歴史は長く、戦前より作られてきた。製作された映画のフォーマットは16ミリ、9.5ミリ、8ミリのフィルムから始まり、1990年代にはヴィデオそして2000年代にはデジタル・ヴィデオへと移っていく。そんな中で、フィルムを中心にかつて製作され、忘れ去れられんとする作品を中心に〈自主映画〉の歴史を隔月で発掘し、上映していく。
●この企画で、自主映画(実験映画、個人映画を含む)には、反商業的なあるいは実験的なあるいはテレビや商業映画、娯楽映画ではけっして扱わない野心的なテーマや題材を扱った作品が多数あり、その時代によって映画を志した若者たちが何を表現しようとしたかを発見することになる。

 

JISYU vol.8

主催:シネアスト・オーガニゼーション大阪
共催:プラネット・プラス・ワン、神戸映画資料館
大阪市助成事業

山川直人の時代/山川直人と時代 1978-1983

1970年代の8mmや16mmフィルムなどによる自主映画製作の興隆は、撮影所が機能不全に陥りつつあった日本映画におけるニューウェーブとして注目を浴びた。山川直人という映画作家は、その時代を牽引した最も重要な存在である。早稲田大学シネマ研究会在籍中に発表された『ビハインド』がオフシアターフィルムフェスティバル’79に入選。同じ早大シネ研に所属していた室井滋をヒロインに、その後も文芸坐と共に製作した『アナザ・サイド』、村上春樹原作の『パン屋襲撃』、『100%の女の子』などを発表し、同時代の作家たちに多大な影響を与えた。そして、86年には『ビリィ★ザ★キッドの新しい夜明け』で劇場映画デビューを果たす。山川直人が手掛けた自主映画の傑作群を通して、現在に至るインディペンデント映画の歴史の夜明けを回顧したい。

山川直人 プロフィール

1957年愛知県生まれ。早稲田大学でシネマ研究会に所属し、78年に処女作『A子のカラス』を発表。同年製作した『ビハインド』がオフシアターフィルムフェスティバル’79に入選、自主映画界の旗手として注目を浴びる。86年に劇場映画デビューを果たし、『SO WHAT』(1988年)、『時の香り リメンバー・ミー』(2001年)などを監督。現在、東京工芸大学芸術学部映像学科教授。

 

9月14日(会場:プラネット・プラス・ワン)

14:00-15:00
Aプログラム

『ビハインド』1978年/早大シネ研/8mm/60分
■ある男が引きずる過去、学生運動の記憶や女たちのイメージの断片が交錯し、観る者の想像力を刺激していく。当時の映画を志す若者に決定的な影響を与えた。

15:15-16:00
山川直人トーク(1)

聞き手・田中晋平(神戸映画保存ネットワーク客員研究員)
※A、Bプログラムのいずれかに来場される方に無料でご入場いただけます。(要半券提示)

 

16:10-17:10
Bプログラム

『ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム』 1979年/早大シネ研/8mm/20分
■思想家、ミュージシャン、映画監督らのおびただしい言葉の引用と映像の融合をはかった疾走感あふれる作品。富士8ミリコンテスト学生優秀賞を得た。

『人生は白と黒だという嘘』 1979年/早大シネ研/8mm/20分
■ボブ・ディラン『ブラックダイアモンド・ベイ』の歌詞から着想を得て作った、幻想的ストーリーの断片がシーンバックしながら語られるビデオ映画。

『パン屋襲撃』 1982年/ビーチフラッシュ/16mm/17分
■おさまらない空白と空腹感を埋めるため、若い男二人が、ある日パン屋を襲撃することに決める。原作は村上春樹。

スケジュール ―9/14(土)―

  • 14:00〜15:00 Aプログラム 『ビハインド』
  • 15:15〜16:00 山川直人トーク(1)
  • 16:10〜17:10 Bプログラム 『ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム』『人生は白と黒だという嘘』『パン屋襲撃』
料金 1プログラム料金:一般…1500円、会員…1300円、学生…1000円
会場 プラネット・プラス・ワン(大阪・中崎町)

 

9/15(日)(会場:神戸映画資料館)

13:00〜15:00
Cプログラム

『アナザ・サイド』 1980年/文芸坐+早大シネ研提携/16mm/112分
■16mmで山川が挑んだ長編作品。高度成長の時代に育った大学生たちが、恋愛の葛藤や仲間の自死に直面するなか、人生の「もう一つの側面」を渇望する。

15:15〜16:00
山川直人トーク(2)

聞き手・田中晋平(神戸映画保存ネットワーク客員研究員)
※C、Dプログラムのいずれかに来場される方に無料でご入場いただけます。(要半券提示)

16:10〜17:20
Dプログラム

『100%の女の子』 1983年/16mm/20分
■原宿の裏通りですれ違ったある女の子をめぐるイマジネーションが、コマ撮り映像で縦横無尽に展開していく。村上春樹原作の第2弾。

『自己と他者』 1979年/早大シネ研/8mm/50分 ※ Blu-ray上映
■帰郷した男が駅で女を待ち続ける様子と、男女の決して交わらない対話によって織り成された作品。主演を山川映画の常連の室井滋と里亮弘がつとめる。

スケジュール ―9/15(日)―

  • 13:00〜15:00 Cプログラム 『アナザ・サイド』
  • 15:15〜16:00 山川直人トーク(2)
  • 16:10〜17:20 Dプログラム 『100%の女の子』『自己と他者』
料金 1プログラム料金:一般…1500円、会員…1300円、学生…1000円
会場 神戸映画資料館(神戸)