Monthly Archives: 2月 2012

CO2助成作品がベルリン映画祭で特別賞受賞!/今泉かおり監督

CO2事務局です。

第62回ベルリン国際映画祭正式招待部門「ジェネレーションKプラス」(※子供たちが賞を選出するというユニークな部門「ジェネレーション」のうち、11歳から14歳の11人の子どもの審査員によって選ばれる部門)にて、 第7回CO2助成作品/今泉かおり監督『聴こえてる、ふりをしただけ』が「子供審査員特別賞」を受賞しました!

この賞はグランプリに相当する「クリスタル・ベア賞」に次ぐ、準グランプリに相当だそうです。

今泉監督おめでとう御座います!!

『聴こえてる、ふりをしただけ』は、昨年度のシネアスト選考委員特別賞と、CO2女優賞(野中はな)のダブル受賞作品です。

本年度、第8回CO2助成作品の受賞作品がどうなるか気になりますね。
3/10(土)より始まる「第7回大阪アジアン映画祭インディ・フォーラム部門」 授賞式は3/11(日)(20:40〜会場:HEP HALL)です。
第7回大阪アジアン映画祭アワード「観客賞」は、3/18(日)クロージング・セレモニー(18:30〜 会場:ABCホール)にて発表されますので、是非皆さんのNO.1作品を投票しに来てください!  お待ちしております。

スケジュールは第7回大阪アジアン映画祭公式HPよりチェック!

**************************

第7回CO2助成作品/今泉かおり監督作品『聴こえてる、ふりをしただけ』

今夏アップリンク配給により公開予定!

 

 

○ 監督・脚本・編集/今泉かおり ○ 撮影/岩永洋 ○ 撮影助手/戸羽正憲、倉本光佑 ○ 助監督/平波亘、増田和由 ○ 録音/根本飛鳥、宋晋瑞 ○ 録音助手/坂井晶子 ○ 美術協力/津留啓亮 ○ メイク/寺沢ルミ ○ 照明応援/倉本光佑、長田青海  ○ 小道具製作/村松英治 ○ 協力/斎藤慎哉、橋野順平、加藤行弘、村松英治、小原智恵、和田直人、亀岡司崇、加瀬仁美、松尾圭太、今泉力哉

● 出演/野中はな、郷田芽瑠、杉木隆幸、越中亜希、矢島康美、唐戸優香里、木村あづき、山口しおり、芳之内優花、橋野順平、松永明日香、諸田真実

2012年2月20日 Category:news, 助成作品

レポート▶10/29(土)吉田浩太監督のCO2特別映画講座(2)

待っていても仕事は来ない

富岡:次回作はそろそろ?吉田:まだですけど『ソーローなんてくだらない』ほどエロに特化してない、バジェットがもう少し入っている作品が動いています。富岡:やっぱりそういうものを吉田さんにって話になってくるんですね。

 

吉田:僕としてはエロに特化しなくてもいいとは思ってるんですけど。求められるのはそこかなって感じはしますね。

 

富岡:他の全然違うジャンルで撮ってみたいっていうのは?

 

吉田:最近は凄くありますね。Vシネとかホラーをやったことがあるんですけど下手くそなんですね。ホラーはセンスだと思うし、元々ホラーに造詣がないので。
いまおかしんじさんは「来るもの拒まず」で取りあえず来てから考えるとおしゃってましたが、僕ら若手には来ないですからね。普段から自分でプレゼンしたり、企画を作っておかないと手詰まりになってしまうって印象はありますね。

 

富岡:企画は常に5つぐらい用意しておくべきで、撮れよって言われたときにすぐに出せないとダメなんです。実現可能かは別として。

 

吉田:僕みたいなインディペンデントの人間で、そこまで出てない人は東京にたくさんいる。その中でどうやったら自分に企画がもらえるか凄く考えるようになりましたね。デジタル化が進んで500万円くらいで作ろうとしたら、みんなそれなりに出来てしまう。新しい才能が次から次へと出て来ますからね。

 

富岡:CO2の監督で撮り続けている人は吉田さんも含めて何人かいますが、この状況の中で低予算のものを撮り続けていって日本映画自体が今後どうなるのって感じはしますよね。大きい予算のメジャーな作品があって、一方で低予算の作品をミニシアターでかけていくって状況があって。そこをどう変えていくのかって。東京におられてどうですか?

 

吉田:どんどん最悪になっていってますね。予算にしても『お姉ちゃん』の時は500万円くらいの低予算の作品はどんどん流通していて、少ないなーと思いながらやってたんですけど、今500万なんて言ったら「そんなにもらえちゃうの?」ですよ。今だったらせいぜい半分くらいです。

 

富岡:山下敦弘監督と何本かやってきて、『ばかのハコ船』は、助成金があったから2千万円くらいで撮りました。元々CO2を始めたときは、若手の監督にとっての間のステップを作ろうってやったんですけど。今なんかCO2で作る作品と商業で作る作品も変わんないよね。

 

吉田:2千万で撮れるなんて今はないですよね。

 

富岡:吉田さんの場合はエロという武器があって、自分のやりたい部分とオファーが一致していますけど、そうでない人は辛いところで。商業物をお仕事として撮っているけど欲求不満が溜まって、別に自主制作を友達と撮ってCO2に応募して来るって人は増えていると思います。そういった監督たちがこの先撮り続けていけるのかは分からない。それが来年その位置に吉田さんや板倉さんがポンと行くといった可能性は当然ある訳です。それで1,2本撮ってまた次の若い世代が出てくるってこともあるので。戦略を練っていかないと厳しいですね。DVDの売り上げはどんどん落ちている訳ですから。

 

吉田:昔はDVDが売れたんで予算が入ったんですけど、今は全く無くなったんで、その分がごそっとないんですよね。

 

インディペンデント映画の今後の方向性を探る

富岡:何がしかの形でシステムを変えていくことは必要ですね。大阪には七藝、その下のシアターセヴン、シネ・ヌーヴォ、シネヌーヴォXとありますが、ミニシアターの時代は今終わろうとしていて、逆に海外から買い付けてきたものを上映するよりは、若手に開放した方が自分たちで集客してくれるからというのでなんとかもっている。ユーロスペースもそうですよね。第2回のCO2当時、東京の上映展はやらなかったんじゃなく、やれなかった。今は状況が悪くなってるから上映できるって現状があります。吉田:監督としてはもちろん公開をするために全力を注いでるんですが、一昔前の劇場公開の価値観とは変わってきてる気はしますね。富岡:今で言うとシネコン公開できるところまで行かなければってことですね。ミニシアターで公開して、そこからどれだけ広げていけるのか戦略を練らないと、作りたい物を作って公開していくってバランスは難しくなりますよね。
韓国は インディー・ストーリーのクァク・ヨンスというインディペンデントの映画作りをバックアップするプロデューサーがいます。国の助成金で若手のインディペンデントの韓国映画をどんどんバックアップして、海外の映画祭に出してます。作品はCO2やアジアン映画祭で上映しましたけど、当時は韓国ではミニシアターって概念がなくて上映する場所がないって言ってたんですね。若手の監督たちが勝手にどんどん撮り出したけど、上映会はどうしたらいいですか?場所借りて自分たちでやればいいよって。国も対応が速くてインディペンデントの映画をすぐにバックアップ始める。インディー・ストーリーが配給していたドキュメンタリーの『牛の鈴音』が韓国ではシネコンで大ヒットですよ。日本ではミニシアター系ですけど。システムも違うからなかなかそういう状況にはなりにくいけど、どっちにいくべきなのか、そういう方向性を探っていかないと。

 

吉田:インディペンデントの映画がシネコンにかかっていくっていうのは、かなり難しいんだろうなって印象があります。

 

富岡:そうなるとメジャーがつまらないんならば、それこそ中国のインディペンデントように、「こういう別の映画があるよ」「これが映画ですよ」って別の形の価値を見せて、一般のお客さんを引付けないとダメですね。お客さんもメジャーのつまんない映画ばっかり観ていたら映画を観なくなってしまうから。逆にインディペンデントで作ってる側も、ある種の商業性をエンターテインメントとして見せていくことも考えないとお客さんが付いて来なくなる。

 

吉田:難しいところですね。板倉さんはエンターテインメントの部分を考えたりしますか。

 

板倉:考えるんですけど、エンターテイメントって概念が希薄で、自分が面白いと思うものをあまり面白いと思ってもらえないってところがあって。プロデューサーと最初から最後までやれたらまた違うんでしょうね。

 

 

2012年2月17日 Category:news, ワークショップ

レポート▶10/29(土)吉田浩太監督のCO2特別映画講座(1)

 
第2回CO2助成作品 『お姉ちゃん、弟といく』のこと

富岡:吉田さんはENBUゼミナールで撮った『象の涙』でCO2に応募、助成監督になって『お姉ちゃん、弟といく』を撮りました。ENBUゼミナール卒業後、シャイカー(★)に所属したんですね。ここではどんな仕事をしていたんですか。

★シャイカー:『呪怨』の清水崇監督や『裁判長!ここは懲役四年でどうすか』の豊島圭介監督らが所属

 

吉田:おもにNHKの仕事で、ドラマのADや『天才てれびくん』のフロアディレクターを務めました。

 

富岡:『お姉ちゃん、弟といく』は、『象の涙』とは全然違う系統の作品ですね。この作品で吉田さん自身も自分の作風が見えたっていうか。エロに特化した(笑)

 

吉田:企画を思い浮かんだのは、カフェでバイトをしているときに、スカートの短いお客さんが来たんですね。その人がノーパンだったら面白いだろうなって思って(笑)。それがテイストかどうかは分からないですけど(笑)

 

板倉:ボーリングのシーンがとっかかりだったんですね。一番気合入ったって盛り上がるところでした。

 

吉田:ノーパンボーリングをやらせたかったという(笑)

 

富岡:40分の作品ですが、何日で完成したんですか。当時は助成金30万でしたけどトータルでどれくらいかかりましたか?

 

吉田:ちょっとこぼして5日くらいですね。最初、制作費は自分で出したんですけど、最終的に会社に出してもらいました。確か60万円くらいですね。

 

 

“お姉ちゃん”を軽やかに演じた江口のりこさん

板倉:お姉ちゃん役の江口のりこさんってどうやってキャスティングされたんですか。吉田:『月とチェリー』っていうタナダユキさんの作品を観て惹かれました。事務所の人が知り合いだったものでお願いして。スケジュールが合わなかったんですが、直前に空いて参加してもらえました。脚本も事前に見てもらっていて、江口さんは全然抵抗なくやってくれましたね。 

富岡:その年のCO2の女優賞は江口さんでしたね。この作品で江口さんのカラーが見えて来た感じはしますよね。江口さんは元々兵庫県の方で東京へ行って東京乾電池に所属してやってるんですね。もう1人の菜葉菜さんは、ピンク七福神の1人・鎌田義孝監督『YUMENO』(’05)を始めたくさんの作品に出ています。瀬々さんの『ヘヴンズ・ストーリー』には、2人とも出ているんですよね。

 

板倉:その後の作品『ユリ子のアロマ』も江口さんですけど、もう1本江口さんでやりたかったんですね。

 

吉田:訳の分からないキュートさがあって、僕はすごく好きになったんですね。ほとんど恋愛感情に近いようなもので、ずっとラブコールをして『ユリ子』に出てもらったって感じです。

 

富岡:江口さんを演出するのはどういう感じだったんですか。

 

吉田:『お姉ちゃん』の時は凄いやりやすかったですね。意図は話すんですけど、こういった描写はいやだとか言われることもなく、あっさりやってくれましたね。

 

富岡:本人的にもはまった役だったんじゃないですか。

 

吉田:どうでしょう。自分で路線を決めたりってことも恐らくないと思うんですね。今見返してみて、こういう話なら普通お姉ちゃんが沈んでしまうんでしょうけど、あのくらいに軽やかにやっているのは、無欲だからなんだろうなって気がします。

 

 

 

CO2後の助成監督たち

富岡:『お姉ちゃん、弟といく』と『象の涙』はCO2の後、東京でも上映しましたね。吉田さんはもう一本江口さんで撮って2本合わせて公開したいんですって言ってたんですけど、病気で倒れて休養して。復帰後に『ユリ子のアロマ』を撮ったんですね。吉田:『ユリ子のアロマ』を渋谷のユーロスペースで公開した時に、板倉さんの『にくめ、ハレルヤ!』も上映していたんですよね。第2回のCO2のとき、僕と板倉さんの作品は対極にあって、僕のはエンターテイメントで板倉さんのはアーティスティックな部分があったんですね。CO2のときは僕も分かんないなーって印象で板倉さんも恐らくそういった感じだったと思うんです。去年一昨年くらいに観返したときに、やっと分かったということはありましたね。 

板倉:僕もまったく一緒で、CO2の時は同期の監督のことは粗探しというか、“これは面白いと認めない”といった感じで(笑)。観直してみて、こんなに純粋に楽しめる映画だったの!?と思いましたね。

 

富岡:僕がやったCO2の第1回目、2回目の中で一番エンターテイメントってことを意識して、その後商品としても廻っていくことを計算していたのは吉田さんなんですよね。予算的には無理をせずに、その先のビジョンもあって。40分で5日くらいで撮って、その後もう1本作るという計算はきっちりしていた訳ですね。

 

吉田:CO2に応募したとき30万って話を聞いていたんで、その時の思考回路としては、30万だったら絶対中編だよなって。出来上がったのがみんな長編だったんで凄く驚きましたね。中編は僕だけでしたよね。

 

 

『ソーローなんてくだらない』のこと

吉田:新作の『ソーローなんてくだらない』の主演は芹澤興人さんと梅野渚さんです。型ではないお芝居ってものを『ユリ子…』を撮った後に整理して、初心に立ち返って作ったのがこの作品。僕の中では手前味噌ですが一番いいなと思っていて、青春Hっていうレーベルの一遍として撮ったものです。富岡:今回は青春Hのセカンドシーズンですね。ピンク映画を撮っていた、いまおかしんじさんやサトウトシキさん。佐藤佐吉さん、白石晃士さんといった30代から40代の若手の監督中心にしていますが、残念ながら関西では第1弾しか上映がなくてDVDリリースになっていますね。『ソーローなんてくだらない』は第七藝術劇場で公開です。ぜひ見ていただければと思います。 

吉田:僕が早漏なんで改善したくてインターネットで調べていると、自分ひとりでは直せない、協力者が必要だってってことが分かったんです。主人公には好きな女の子がいて、その子とセックスしたいがために、ルームシェアしてる同居人の女の子に協力を頼む。彼女は嫌々ながら早漏改善を手伝っていくってどうしようもない話なんですけど(笑)。

コメディとしても面白いと思うし、手伝うことで関係性が変わるその構図が面白いと思います。ヒロインの梅野渚さんは前田弘二さんの昔の自主映画の作品によく出ていた人で、当時からいいなって思っていたんです。主演の芹沢さんは今泉力哉くんの作品によく出ています。

 

映像を組み立てる監督・演出で何かを引き出す監督
富岡:CO2審査員の黒沢清さんなんかは映像をどう組み立てていくのかってタイプで、山下敦弘さんや吉田さんは演出をつけてそこから何か引っ張り出すタイプですね。吉田:板倉さんは黒沢さん的な雰囲気と言うか。もちろんお芝居はあるんですけど、映画の表現の方法を作っていく。板倉:CO2が終わって振り返ってみると、自分のビジョンにはめていくってことをやっていたんだと思います。先日ワークショップで短編を撮った時は全く違っていて、お芝居ありきでした。自分が書いた脚本じゃないっていうのもあるんですけど、キャラクターが「どんな人か」、分からないなりにも考えながら撮りました。考え方が変わったのかもしれないですね。 

吉田:それは見てみたいですね。

 

富岡:吉田さんは今まで脚本も全部自分で?

 

吉田:はい。次の分を今書いてるんですけど、既に10稿近く行っていて。突破口がないので、一度女性の方に入ってもらおうかなと思ってるんです。『ソーローなんてくだらない』は役者さん演技のことだけを考えて撮った作品ですけど、逆に今は別のベクトルに行きたいです。役者さんを搾り出しつつ、板倉さんが言ったようなビジョンも考えていきたいですね。

Category:news, ワークショップ

レポート▶10/15(土)単発ワークショップ「映画技術講座/照明講座」

 

照明技師・岸田和也さんの照明講座

ビデオ撮影プロダクションを経てフリーとなった岸田さん。1995年より照明を専門とするようになり、CMなどでプロとして活躍。関西で活躍する三原光尋、安田真奈、横田丈実監督らの作品にも参加されています。最新作は柴田剛監督『堀川中立売』です。照明講座では実際のライティングをモニターで確認しつつのレクチャー。参加者の専門的内容から素朴な疑問までたくさん質問が出て有意義な照明講座となりました。
Q:テーマカラーをどう使いますか
あるキャラクターのイメージカラーがイエローだとしたら、その人以外が出るシーンには、イエローはできるだけ使わないようにします。
『コックと泥棒、その妻と愛人』のピーター・グリーナウェイ監督は、そういった使い分けが極端で非常に面白いと思います。部屋を移動するごとにテーマカラーが変わって、色が変わることでお客さんは場面が変わったことを認識します。色を何気に使うのではなく、気を使うことでより表現が深まります。
Q:『堀川中立売』で工夫した点は?
岸田:寺田というキャラクターがいて、彼は少年時代に殺人を犯して逮捕されずに、更生して保護司付きで生活しています。そんな過去のある男だから、寺田の背景に明るいものを置かないってことを僕の中に決めたんですね。シーンによっては背景が明るいことがあっても、寺田の目線の先には明るいものを置かない。明るいものがあるとプラスのイメージを含む画面になるからです。彼の前途には明るいものがないというメッセージを作ろうというライティングの意図です。

日本では撮影と照明が別パートに別れてしまってるんですけど、外国では撮影監督っていうシステムで、カメラマンがライティングまで考えます。僕としてはそちらの方が合理的だし一貫性があるから、日本のシステムがいびつかなと思います。カメラマンの負担が減るという良さはあるにしても、色や光線、表情は撮影監督が責任を持つ方がいいと思うんですよ。

 
Q:室内の撮影では蛍光灯をつけますか。
岸田:色々あります。一般の蛍光灯にはグリーンの色味が入っているため、グリーンの出ない蛍光灯を使ったり。ライト側にグリーンをつけてホワイトバランスを取る事もあります。蛍光灯があった方がいいか否かは、交換できる蛍光灯が用意できるかという予算によるし、場合によって様々な判断となりますね。どこにどういう光線が欲しいか。それに尽きるでしょう。安易に、ここにこの明かりがあるからこれでやろうかとなると、表現がそれに縛られて狭まってしまいます。ニュートラルにどこから当てるのが効果的か考えるのが先。消すか点けるかは作りたい画ありきの判断をします。
Q:モニターと実際のスクリーンでの誤差はありますか。
岸田:あります。それは永遠のテーマですね。一番信用するのはビデオの場合は波形モニター。色のレベルを波形で見せるモニターがあるんです。それで飛び過ぎてないか、暗すぎないかはビデオエンジニアと一緒に見て判断します。劇場によってプロジェクターの明るさやスクリーンの反射率の問題で条件が変わってくることもあります。
Q:オール自然光で撮ることはありますか。
岸田:ないですけど、そういう事を目指すって人もいます。それはそれでかなりストイックな戦いで面白いですけど、できたらやりたくないですよ。太陽は動くから、いい時間になるのを待ってないといけない訳です。もちろん、自然光ならではの効果はあります。でも狭い空間なら、ライトの方が動かせる分自由は利きます。窓から差し込む光を表現するのに、好きな高さでキープできるけど太陽は動くからね。自然光でやるのはものすごい時間がかかります。オープンで太陽が強く当たるようなシーン…草原とか、ライトではどうしようもないし、太陽でしか撮れないシーンは別ですけど。HMIと言って太陽光の波長に近い光を出す照明器具があって、太陽に似せて撮るんですけどやっぱり違います。人口の光は人口の光なんですね。太陽は赤外線から紫外線までの波長を全部もっていて、それが降り注いだときに人間の目が白と判断する。それが傾いて夕日になるのは空気中で青みが全部カットされるからなんですけど、その日中の太陽に似せたHMIは赤みがない。真夏の強い光を再現しても肌の色が良くないんです。太陽に勝てないっていうのが僕らの共通する意見です。
Q:LEDは使いますか
岸田:最近は使いますね。小さいものからパネルを合体させて大きいものにしたり。薄いので隠しやすいという利点がありますし、面光源として利用します。ただ発色が完全じゃないという問題はあって、まだまだ改良されていくのかなと。直進性が強くて、面光源のようでスポットライトのような当たり方をします。でも消費電力が少ないこともあって、これからLEDがどんどん主流になっていくと思います。歴史的にはタングステンの照明器具からHMI、その次に蛍光灯がたくさん使われるようになって、次にLED。80年代のHMIは相米慎二監督の『翔んだカップル』あたりですね。HMIは馬鹿でかいものから現在では進化して小型化し、光量がアップしてますね。何故大きい照明を使うかと言えば広範囲を大光量で当てられるということです。

1994年の『RAMPO』の時代あたりに蛍光灯が使われるようになりました。それまで蛍光灯は色味が悪いし、光量がなかったんですね。

富岡:蛍光灯そのものが良くなってきたってこと?70年代ぐらいのアメリカ映画を観てるとロケで撮ってると蛍光灯の光がちょっと紫っぽかったりグリーンぽかったりそれがまた1つの雰囲気になっていて。駐車場でのアクションシーンとか。『ダーティーハリー』なんかを観ると刑事の部屋のシーンがちょっとグリーンぽい。それが安定してなかったってことなんですね。意図的な使い方でないと当てる照明としては使えなかった。

岸田:絵の中に入る分には使えても照明器具としては使われなかった訳です。その後、アメリカのメーカーが使い勝手のいい照明用の蛍光灯の開発を始めたんで大分普及しましたね。

Q:照明部の方が敏感に感じるところがあるかと思いますが、撮影中に失敗だなと思ったときに途中で止めることはありますか。
岸田:ありますね。監督やカメラマンとの関係性もあります。先輩監督だったら言いにくいとか(笑)。でも言います。芝居の途中ならカットがかかるまでやっていただいて声を掛けますよ。
参考
フィルムアート社の『マスターズオブライト』っていう本がありますが面白いですよ。『未知との遭遇』とか『ゴッドファーザー』の時代ですけど、何を意図してどういう撮影手法を使ったかということが書かれていて、今読んでも勉強になります。興味ある人はぜひ読んでみてください。

 

Category:news, ワークショップ

最新情報!第8回大阪アジアン映画祭インディ・フォーラム部門

CO2事務局です。

3月9日から始まる「第7回大阪アジアン映画祭」の「インディ・フォーラム部門」にて、
第8回CO2助成作品と、ワークショップで制作した短篇、こども映画教室作品を上映いたします!!
(そのほか海外インディペンデント作品や、無料トークなど盛り沢山です。)
「インディ・フォーラム部門」は 3月10日(土)〜18日(日)HEP HALL、シネ・ヌーヴォ、プラネット・スタジオ・プラス・ワンの各会場にて上映されます。

詳しい情報はこちら(PDFです)
(※トップページ右上の「インディ・フォーラム部門」をクリックしていただいても見れます。)

皆様のお越しをお待ちしております!!

2012年2月6日 Category:news, ワークショップ, 助成作品

レポート▶11/6(日)仲谷進先生のCO2特殊メイク講座(2)

 

CO2初の特殊メイク講座の講師は仲谷進先生。1992年に『SPECIAL MAKE-UP & EFFECTS KID’S COMPANY』を設立し、大阪を中心に映画、TV、CM、PVなど特殊メイク全般を手掛け、大阪モード学園、ECC アーティスト専門学校 、大阪デザイナー専門学校で特殊メイクアップの講師として指導も行っていらっしゃいます。今回レクチャーしていただいたのは傷メイクです。
■手指欠損メイク
(1)続いて西村さんによる手指欠損メイク。ご自分の左手の中指に施されました。ワックスでちぎれた第二関節を造形。 (2) 筆を使って微妙な色合いを調整します。
(3)荒いスポンジで 仕上げに入ります。この間わずか10分足らず。
(4) 完成。 (5) 中指がとんでもないことになりました!!!
 
デモの後は仲谷先生にお話を伺いました。
高校卒業後に特殊メイクの工房に弟子入りしたという仲谷先生。最初は工房の掃除しかさせてもらえなかったそうです。掃除を完璧にするところから始めて、師匠の仕事を見て、この作業のときはどの材料を使うといったことを完璧に覚え、次第に作業をさせてもらえるようになってからは実力が付くのも早かったそうです。その後独立、1992年に『SPECIAL MAKE-UP & EFFECTS KID’S COMPANY』を設立されました。

Q:苦労した仕事はどんなものでしたか。

仲谷:一番大変なのは製薬会社の症例に合わせた傷のダミー制作です。事前に何回か会社にテストをしに行くんですけど、専門家が見て様々な意見を出してくるので持ち帰って前のメイクに足していきます。これが中々大変な作業です。難しいことを色々考えて行き詰った時に、一旦頭を真っ白にして身近なものでやってみると意外とすんなりできるんです。再度チェックを受けて「これなら大丈夫」と言われた時が一番ホッとする瞬間ですね。

 

Q:無茶を言われることはありますか

 

仲谷:昔はよくありましたが今は少なくなりましたね。貼り付けのものでも明日撮影したいと言われたり。顔型を取って、造形して、おこし直して、フォームを焼いてという工程を踏むので無茶なんですけど、つい最近もどうしてもと言われてやりました。もちろん満足できる仕上がりにはなりませんが、名前が出る以上は出来る限りのことをやるしかないですからね。

昔は徹夜仕事が多かった中で、最長16徹なんてこともありましたね。上で2、3時間ずつ交代で仮眠しながら、下の工房はずっと稼動している状態。最近は数が多いような大掛かりなものが減って、細かい依頼が多いのでそんなこともなくなりました。映画は細かいものを含めると年に2、3本やってます。

 
手前の人頭は仲谷先生ご自身のダミーヘッドです。髪の毛も細かく植え込んでいます。
  

Q:今まで使ったへんな素材は何ですか

 

仲谷:ブタの腸や本物のウジですね。ウジは釣具店で売ってるんですけど、早く使わないとハエになってしまうから大変でした(笑)

 

 

 

Q:傷メイクで使った道具はセットにして発売しないんですか

 

仲谷:それはよく聞かれます(笑)。うちの会社も海外のシネマシークレットっていう商品を輸入するお手伝いをしているんですが、ドンキホーテや東急ハンズで買えますよ。それを少しプロ仕様にしたものの発売を準備している最中で、講習会なんかも考えています。

ハロウィンの時期にはパーティー用メイクの依頼もあって忙しくなりますね。東急ハンズには3000円くらいでワンパーツのセットがあるので、買った人にプラス1000円でメイクまで仕上げるといったことを学生とやっています。

ハロウィンイベントは、2010年から東京で、2011年は震災の影響で東京はなかったんですが、博多、名古屋、梅田、心斎橋でやりました。大阪人の方がノリがいいかと思っていたら、はるかに関東の方が凄かったですね。徐々に関西でも定着してきたみたいで、心斎橋で行われるイベントなんかはかなり盛り上がってますよ。

Q:映画やイベント以外で、一般の人からのオファーはないんですか

 

仲谷:受験シーズンになると必ずあるのが、ピアスの穴を隠してほしいって依頼ですね。(会場笑)結婚式でワンポイントのタトゥーと隠してほしいとか。あとは、パーティーやイベントなんかでお金を掛けてもやりたいって人も増えてますね。

 

 

Q:今後について

仲谷:手で作ることの限界があるかもしれませんし、デジタルがどこまで発達するかも分かりませんがしれませんが、手で作るリアルな造形物の路線は今後も追及して、新しい素材や技術を取り入れながらやって行きたいと思います。

 

富岡CO2事務局長:昔の特殊撮影を観ても、物が実際そこにあることによって役者のリアクションが違いますからね。物がそこにある強さにはCGは勝てないと思います。

今年のCO2助成作品でも仲谷先生の特殊メイクが登場します。3月10日(土)から始まる「第7回大阪アジアン映画祭インディ・フォーラム部門」にご期待ください!

2012年2月2日 Category:news, ワークショップ

レポート▶11/6(日)仲谷進先生のCO2特殊メイク講座(1)

CO2初の特殊メイク講座の講師は仲谷進先生。1992年に『SPECIAL MAKE-UP & EFFECTS KID’S COMPANY』を設立し、大阪を中心に映画、TV、CM、PVなど特殊メイク全般を手掛け、大阪モード学園、ECC アーティスト専門学校 、大阪デザイナー専門学校で特殊メイクアップの講師として指導も行っていらっしゃいます。今回レクチャーしていただいたのは傷メイクです。
  
 ■傷メイクシール
  (1)まず最初はあらかじめ作っておいたシート状の傷(先生はピース呼んでいました。)を使ったデモンストレーション。アルコールで肌を拭いた後にシールを乗せます。濡れたティッシュで水を含ませシートを剥がすと、肌にシールが付着します。
(2) 水を浸した綿棒でシールと肌の境目を馴染ませます。 (3)色味を調整します。
   
  (4) 荒いスポンジに血糊を含ませて出血を表現します。
  (5) 完成!1から作るものと違って出来上がりにばらつきがなく、手早く簡単にセッティングできるため、数日に渡る撮影の際に活躍するそうです。
  ■ワックス ビルド アップ
  (1)今度はワックスを使った傷メイクです。アルコールで丁寧に拭いた肌にワックスを乗せ、2回に分けてスパテュラで伸ばします。肌とのブレンド、スムージングを心がけ境目が分からないようにします。クレンジングをつけてさらに馴染ませていきます。隣にある先ほどの傷メイクは、血糊が乾くとさらにリアルですね!
  (2)ティッシュでクレンジングの油分を除去。折り目を当てると線が入るので注意します。ベビーパウダーで油分を抑え、荒いスポンジを当てることでワックスのつるっとした表面を肌の質感に変えます。スパチュラでワックスの真ん中に切り傷を入れます。
  (3)どんな刃物か。刃物の厚み、切れ味、角度、深さなど、刃物がどう入ってどう出たか、たくさんの要素を考慮に入れて、作っていきます。
  (4)平筆を使って傷の中に茶色の色味を入れます。単一にならないように入れ、傷の深さや固まった血を表します。
  (5)表面に一見しても分からないくらい薄く色を乗せていきます。ここではワックスが柔らかいことと、微妙な色を出すために指を使います。肌の色は相当時間がたたないと変色しないので、微妙な色合いで少しの炎症や腫れを再現します。
  (6)荒いスポンジに血糊を含ませて出血を表現します。血飛沫は傷口から飛んだように方向に注意しつつ飛ばします。血糊を傷口に入れすぎないことと左右対称にならないようにするのがポイント。
  (7)傷から血が滲み出た様子が自然に再現されています。痛そうです!
(8) 参加した皆さんも二人一組でトライ! (9)それそれ好みの(?)傷と出血フォルムをデザイン。
   
(10) 仲谷先生にスパチュラ使いのポイントを教わります。 (11)CO2助成監督の安川さんも参加。上手くできていますか?
   
(12) 私も、この道10年というアシスタントの西村美希さんの腕をお借りして、アドバイスを頂きながら恐る恐る挑戦!
  (13) ワックスが肌に馴染んでおらず白っぽく浮いていますね。一生懸命ぼかしたはずの赤や青の色味は何処へ??いやー難しいです!こういった作業を基本に、様々な技法を用いてレベルの高い特殊メイクが生み出されるんですね。血まみれ映画好きにはたまらないレクチャーでした。ありがとうございました!

Category:news, ワークショップ