2011年12月8日

レポート12/3(日)『マジック&ロス』初日舞台挨拶

?大阪市の九条・シネ・ヌーヴォにて12/3(土)『マジック&ロス』の初日舞台挨拶が行われました。

この作品は昨年のCO2助成作品『新世界の夜明け』の前にリム・カーワイ監督が撮った2作目に当たります。舞台挨拶にはリム監督、主演でプロデューサーの杉野希妃さん、主演・キム・コッピさん、ヤン・イクチュンさんが登壇し、満員の劇場を沸かせました。
(司会:シネ・ヌーヴォ支配人/景山理さん)

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夢のキャスティングが実現した訳

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景山:まずキャスティングに驚かされました。

杉野:コッピとは2009年の釜山国際映画祭で初めて会ったんですけど、始めは『息もできない』のあの子だとは気付かなくて。映画の中の姿と普段があまりに違うのにびっくりしましたし、そこまで変えられるのが凄いなと思いました。カーワイとこの映画の企画を立てたときに、二人の関係を崩す役を誰にするか考えて、実際に私たちをつないだとも言えるイクチュンさんに頼んだら面白いことになるんじゃないかなって。「バカンスに来ない?」って聞いたんですけど(笑)。脚本も読まずに来てくれました(会場笑)

ヤン:当時は『息もできない』の撮影の後で精神的に疲れて休んでいたんですけど、キキさんからの頼みという事もあり、映画のためというより当時の自分のために作品を選びました。

景山:キム・コッピさん。同性愛とも取れるし不思議な物語ですが、出演してみようと思われたきっかけをお聞かせください。

キム:私もバカンス気分で参加しまして、「バカンスに来ない?」って言われて(笑)参加しました。数日後に韓国で公開される映画がありまして『マジック&ロス』より前に撮影をしていたんですが、その映画にも同性愛といえるテーマ性がありました。1回演じていたので、『マジック&ロス』でより上手く出来たんじゃないかと思います(笑)。

景山:『息もできない』とは随分テイストが違いますが難しくはなかったですか。

キム:『息もできない』以外でも映画のキャリアは10年くらいありますので、難しいということはなく、多国籍プロジェクトであるということが新鮮な点でした。

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監督とプロデューサーの苦労は

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景山:リム監督。二人をキャスティングして映画を作るという事で、ご苦労はありましたか。バカンスでまず騙して連れてきたということですが(笑)

リム:バカンスのつもりで楽しいバカンス映画を作ろうとしましたが、神秘的で不思議な映画になってしまうし、予想通りいかないですね(笑)本当に映画というものはやっかいなものです。それがこの映画で分かりました(会場笑)

景山:『息もできない』という完成度が素晴らしい映画の監督さんと女優さんを演出する訳ですし、杉野さんもアジアでご活躍されている女優さんです。演出は大変だったんじゃないですか。

リム:そうですね。かなり大変でしたね。特に言葉の問題もあるし。私は一番下っ端というか(笑)大監督のヤン・イクチュンさんですから、最初会ったときはドキドキしましたけど、会ってみたら普通のお兄さんという感じですぐ打ち解けました(笑)。演出するときも普通に演出してます。

景山:杉野さんはプロデューサーとしてこの映画をまとめるのと、主演で大変な現場を経験されたんじゃないかと思いますが。

杉野:主演とプロデューサーで大変だったということはないんですが….(笑)いやあったかな。この二人を守らなきゃいけないということがありましたので。監督がイクチュンが浜辺で倒れるシーンで、マット無しで始めようとしたり(笑)

リム:マットあったんですよ(笑)

杉野:あった?(笑)あったけど薄かったんだよ。

リム:最初から用意してたんですけど見えなかったかもしれない。忙しくて(笑)

ヤン:死を覚悟して演じました(会場笑)

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現場のグローバル・コミュニケーションは

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景山:ヤン監督、リム監督の演出は同じ監督という立場からどんな風にご覧になりましたか。

ヤン:凄くよかったです(笑)今回は俳優として監督を眺める立場にあったんですね。全くシナリオを読まずにこの現場に参加しましたので、監督の指導を受け入れていく、そういった関係にありました。まずは現場のみんなの会話が1つも分からないという(笑)

杉野:伝えるべきところは私が韓国語で翻訳したんですけど、他はいいか、と(笑)

リム:身振り手振りと片言の英語と日本語、という感じですね。

景山:キム・コッピさん、コミュニケーションは取れましたか。

キム:主に英語なんですけど時々日本語が混じってきます。

リム:キム・コッピさんの英語はとても上手いです。語学の天才で日本語も結構上手くて、香港の滞在期間1週間でしたけど、広東語もすぐマスターしました。素晴らしいと思います。

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観客のみなさんへ

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景山:最後にみなさんから一言お願いします。

リム:この映画は『マジック&ロス』ですけど『マジック&エロス』と変えてもいいと思います。“エロス”だと“タナトス”、要するに“性”と“死”を意識して観ていただくと、色々なことが分かってくると思います。

杉野:この映画はまさに体感してもらう映画なのでぜひスクリーンで観ていただきたいと思っています。何も考えずに観てもバカンス的な要素を楽しんでいただけますし、生死を超えたような真面目なテーマもあります。こんな映画があるということを1人でも多くの方に知っていただきたいので宣伝をお願いいたします。今日はありがとうございました。

キム:楽しい夢を見ているようなそんな映画に仕上がっていると思います。不思議なミステリーのような部分もありファンタジックな部分もあります。ぜひ楽しんでいただければと思います。おおきに!

ヤン:自然の力も若い制作者、若い俳優たちが国籍を超えて作り上げた映画です。またこういうプロジェクトがあると思います。この『マジック&ロス』も次の作品も、ぜひ応援していただければと思います。おおきに!


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