2011年11月6日

レポート11/3(木)『新世界の夜明け』トークイベント(2)

11/3、九条/シネ・ヌーヴォで行われたトークイベントの模様です。後半はQ&Aタイムに。

観客男性「新世界のリアルやそこに住む中国人のリアルが見られて良かったです。リム監督が一番観て欲しかったところや伝えたかったメッセージを教えてください」

リム「見所は全部です!みんなそれぞれの自分の“新世界”を見つけてください」

富岡「リムさんが撮りたいものが日本では新世界、中国では北京だったんですね。中国が経済的にどんどん成長し北京が最先端を行ってて、街の中は映画の冒頭で登場する圧倒されるような景色な訳です。中国のインディペンデント映画では逆にあまり写されていない。中国の監督はヨーロッパで受けるテーマとして貧しい中国の人達を敢えて撮ったりするんです。アジアンミーティングに招いた監督ともよくそういう話はするんですが。リムさんの場合はダイレクトに今の状況と北京の状況を風景の中に捕まえようとしたところはあると思います」

観客男性「富岡さんがみてリム・カーワイさんの映画、どんなところが良いと思いますか。また、今後大成するにはどういうところを伸ばせばいいとお考えですか」

富岡「今回5本の助成作品の中で、彼が一番“外部”があるんです。今の日本の若い人たちは自分の中に閉じたものが非常に多く、彼の前作2本は、同じ人が撮ったと思えないほど違います。それだけ幅があるっていうのは“力”なんです。CO2に寄せられる企画は自分の作家性を中心にしたものが多いし、自分の体験からしか発想できない人が多い。そこには“他者”がいない。理解できない他者をどう理解するか考える人が中々いないんです。若い20代の監督がお爺さんの映画を撮ったっていいんだけど、想像することを怖がってそれをやらない。
人に見せるとなった時にどれだけお客さんを想定して作れるかは重要です。

『新世界の夜明け』は最初から「女の子のクリスマス映画である」「北京と大阪の話である」っていくつか自分でハードルを設けて、それをどうクリアしていくかっていう作り方をしています。
かつての映画黄金時代にプログラムピクチャーとして作られてきたものがそうでしたが、監督より企画ありきで、撮りたいかどうかは別として、その状況に応じて自分が作るべきものを見据えて作られていました。
その意味では、リムさんにはこれまでたくさんの映画を見てきた記憶もあれば、日本、中国、香港での体験があり、宣伝のときに“どれだけ安くアジアを回ることができるか”なんて話もしてましたけどその行動力がある。その厚みは確実に今後生かして行けものだと思います」

最後にJUNさんが地域と映画づくりについて一言。

「アーティストが集まって中崎町でアートコミュニティをやっています。町興しという意味でもいろんな監督にロケ場所として使ってもらうことで、地権者にも観光地として値打ちがあると認識してもらえます。そうやって古い町並みも大事に守っていきながら、僕らも活動していきたいと思っています」

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『新世界の夜明け』は11/11(金)までシネ・ヌーヴォ、11/12(土)から11/25(金)までシネ・ヌーヴォXにて上映します。

リム監督の第1作目『アフター・オール・ディーズ・イヤーズ』は中崎町のプラネット+1にて11/26(土)から12/9(金)まで上映。

第2作目『マジック&ロス』は、杉野希妃(『歓待』主演)、キム・コッピ(『息もできない』主演)、ヤン・イクチュン(『息もできない』監督・主演)が主演。東京国際映画祭で上映された後、12/3からシネ・ヌーヴォにて公開予定です!

 

 

 


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